AO入試合格者のやる気や学力を高めるには? 大学全入時代の入試システムに新たな試み

かつて、大学入試には「選抜」という高いハードルがあった。学生は選抜をくぐり抜けようと懸命に勉強し、その中で成長した。しかし大学全入時代といわれる今、一部の大学を除き入試が努力の対象ではなくなりつつある。ベネッセ教育研究開発センターの樋口健・主任研究員が、これからの入試の在り方を提唱する。

 

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大学全入時代に合った入試を再構築する必要性を強く感じます。学ぶ力や意欲を鍛え、大学での学びの呼び水になるような仕組みを入試の段階で整備すること、入試を通して学生が育つ仕組みを考えていくべきです。

 

たとえば推薦・AO入試。本来は自身の将来を考え、大学入学前から自分の研究テーマに取り組めることを目的とした選抜方式でした。ところが、ほとんどの推薦・AO入試は11~12月ごろが合否決定のピーク。一般入試に比べて時期が早く、入学までの数カ月間を放っておけば学生のやる気をマイナスにしてしまう可能性があります。こうした学生のモチベーションを高める課題を、入学までの間に大学側が課していくなどの対策が必要なのではないでしょうか?

 

一部には、入学前の学生に積極的に課題を与えている大学もあります。ある私立大学では、学問への関心を高めるために、高校で学んだ知識を用いてのテーマ学習や、研究課題レポートを課しています。別の例では、頻繁に学生を集めてキャリアカウンセリングを行い、将来を考えさせることでモチベーションを高め、入学後にはその成果を活かしてプロジェクト学習に参加させる試みもあります。

 

国立大学の例として、AO入試合格者を対象にしたSNSを開設する大学もあります。ネット上のコミュニティーの中で、先輩学生や教員が大学での学びの魅力について語り、理解を深めるのです。ここでは自学教材の提供、論文作成技法の指導など、大学生としての学びにつながる統合した仕組みが構築されています。

 

出典:問われる大学全入時代の入試の在り方(後編) -ベネッセ教育情報サイト

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