習い事の家庭練習に時間をとられ、なかなか読書ができない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4女子(性格:理論的なタイプ)のお母さま


質問

長文に対する読解力がなかなかつきません。読書は嫌いではないのですが、ピアノ、そろばんなどの習い事の家庭練習に時間をとられ、なかなかできません。


小泉先生のアドバイス

場合によっては、習い事を一時中断する。

ご相談内容は、「習い事のために、読書がなかなかできない」ですが、5年生になると恐らく塾自体との両立で悩まれると思われますので、今回は「受験勉強と習い事」の関係についてお話しします。

習い事と受験勉強の両立で悩まれているご家庭は多いと思います。習い事はピアノやそろばんの他に水泳やサッカーなども含まれ、最近は特に多様化しているようです。4年生くらいまではなんとか続けることはできますが、5年生になると塾のほうが急に忙しくなり、どうしても勉強する時間がとれなくなって、習い事を中断せざるを得なくなるケースが多いようです。ただし、子どもがやめたがらないことも多く、それによって受験へのモチベーションが低下してしまうのは困りますから、上手な受験態勢への移行が必要だと思います。

まず、習い事を中断する時期ですが、お子さまの現在の学力と目標とする学校のレベル差によると思います。その差が大きいのであれば勉強する時間が必要になりますから、たとえばサッカーの練習をしている時間はないということになります。また、お子さまの体力にも関係してきます。体力があれば習い事を続けられる期間が長くなりますが、なければ残念ながら受験勉強に集中すべきでしょう。
ただし、中断か継続かの判断とその時期は保護者だけで行うのではなく、お子さまもその決断に参加すべきだと思います。中学入試を他人事ではなく、自分のこととしてとらえるためにも、今何が大切で、何をなすべきかをご両親とともに考えてもらい、受験生本人も納得のいく決断を下すべきだと思います。あるいは、中学受験をすると決めた時点で、習い事をある時点で中断せざるを得なくなる可能性があることを事前に言っておくべきかもしれません。

また、習い事をどうするかの決断は、お子さまの精神的な面も考える必要があると思います。小学校5、6年生の時期というのは、成長の個人差が顕著であり、同じ6年生でもかたや“年配者”みたいな雰囲気の子どももいれば、“まだ3年生くらい”と思えるような子どももいます。中学受験はよく言われるように、大人っぽい子どもが有利な受験です。体力があり、しかも精神的に成熟した子どもなら、それこそ能動的に受験勉強をこなしていくことが可能です。集中して勉強できますから、同じ内容を短期間でマスターすることができるのです。つまり、超難関校に短期間の勉強ですんなりと合格するのは、そのような大人っぽいお子さまたちが多いということです。実際、私の教室にも6年生になる直前の3月から塾通いを始めて、1年足らずの勉強で早稲田中学に入った生徒がいましたが、非常に大人びた、しっかりとした発言をする少年でした。

このように個人差があるので、場合によっては5年生よりも早い時期に中断して受験に専念すべきお子さまもいれば、その逆にもう少し続けても大丈夫なお子さまもいると思います。体力や集中力を確認しながら、お子さまに合ったタイミングで決めることが大切でしょう。
ちなみに、読書をする時間自体も、5年生の夏休み前くらいからなかなかとれなくなってくると思いますので、国語の読解力をつけるためには今のうちに本を読む時間をとりたいものです。受験勉強をとるか、習い事をとるか、あるいは読書をとるのか? 場合によっては、習い事を一時中断することも必要になりますから、4年生から5年生にかけては本当に悩みの時期といえるでしょう。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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