志望校選定の順序 [中学受験]

偏差値で志望校を選ぶことに保護者は罪悪感があるのか、下表のように保護者に志望校選定のアンケートをとると、必ずといっていいほど「教育方針」と「校風」が挙げられ、「偏差値」は少ない。しかし、我が子を成長させたいのであれば、なるべく偏差値の高い学校を選んであげることが志望校選定で成功するための第一歩となる、と考えるべきだろう。もちろん、我が子の学力に比べ、極端に高い学校に無理をして入学すると、授業についていけないことにもなりかねないので、偏差値が高すぎる学校は避けるべきだ。

偏差値の高い学校には、学力の高い生徒が集まる。「善悪は友による」のことわざにもあるように、人間は環境に左右される生き物なので、優秀な友達の影響で、学力だけでなく性格や能力の向上も期待できる。進学校が大学受験に強いのは、高い意識を持った仲間がいることで、自分自身も当然のように、高い目標を持って受験に取り組むからだろう。逆に、いくら学力が高い生徒でも、周りに意識の高い仲間がいないと、多少の問題で挫折し、簡単に志望大学をあきらめてしまうことも多い。

もちろん、何も考えずに偏差値だけで志望校を決めると問題点もある。たとえば、偏差値だけで選んだ学校に入学させたのはよいが、校風がまったく合わないことで、豊かな学校生活を送ることができないことになりかねない。やはり、偏差値だけではなく、我が子の性格や家庭文化に合った学校かどうかも志望校選定要素とすべきだろう。「我が子に合った学校」を調べていくと「我が子の性格や家庭環境に合った学校」という側面と「我が子の性格や能力(学力を含む)を向上させてくれる学校」という側面があることがわかる。

偏差値の高い学校に入学させたいと思う保護者の多くは、我が子を成長させたいのだと思う。我が子の成長とは、我が子の性格や能力(学力を含む)を向上させていくことだが、「性格や能力を向上させてくれる学校」であるのかどうかは、調べる方法がない。学力だけを伸ばすのは実は難しく、多くの場合性格や能力も同時に向上しているものだ。従って「性格や能力を向上させてくれる学校」であるのかどうかは、「学力を伸ばしてくれる学校」で調べることができる。

以上のことをまとめると、志望校の選定は、(1)我が子の学力と体力を考慮し、学校の偏差値と通学時間で絞り込む(志望校の偏差値は、入試までの時間にもよるが、あまり高すぎても低すぎてもいけない)→ (2)我が子の性格や家庭環境に合っているかどうかを、文化祭・説明会で絞り込む(学校を訪問すれば、感覚でわかるだろう)。→ (3)我が子を伸ばしてくれるのかどうか、「学力を伸ばしてくれる学校」で志望校を決定する(偏差値や所在地だけでなく、男子校・女子校・共学校、進学校・半付属校、私立校・公立校などの選定要素も加味することになるだろう)、のような順序で行えば志望校選定で失敗がない。



志望校選定で、重視する事項は?(重要だと思う上位3つを記入)

※小数点以下を四捨五入しているため、実際には100%でない場合がある

志望校選定の順序
(1)我が子の学力と体力を考慮し、学校の偏差値と通学時間で絞り込む
(2)我が子の性格や家庭環境に合っているかどうかを、文化祭・説明会で絞り込む
(3)我が子を伸ばしてくれのるどうか、「学力を伸ばしてくれる学校」で志望校を決定する


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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