私立と公立、どう違う? (教育内容 土曜授業など)[中学受験]

前月の小3向け記事では「私立中高一貫校(以降「私立」)と公立中高一貫校(以降「公立」)の校風はどのように違うか?」をお話ししたが、今回は「教育内容」についてお話ししよう。
「私立」についてはもちろん、「公立」についても教育内容はさまざまで、「校風」と同じく「公立」の学校間においても異なると考えるべきであろう。
「私立」と「公立」を比較する手法として、「校風」と同様に同じ東京都の「公立」に限定して比較できる「私立」を見つけ、違いを分析することにした。そこで、東京都の「公立」と同じ基準で比較するために、共学・進学校かつ同じくらいの難易度の学校を10校選んだ。

まず、教育内容のベースとなる授業での「私立」と「公立」の違いを調べてみよう。授業であれば、実施しているかどうかや数値で示せる内容もあるので、比較しやすい。たとえば「私立」は土曜日に授業を行っている学校が多いと思われるが、「公立」ではどうだろうか?
公立11校と私立10校で土曜授業の有無を調べて表にまとめた。


土曜授業の頻度と、1時限あたりの授業時間分数


※首都圏の公立・私立中高一貫校から、任意の10校を抽出して作成。
※小数点以下を四捨五入しているため、合計は100%にならない場合がある。


一般的に、公立の中学校では土曜授業が行われていないのが普通だが、「公立」では、まったくない学校は5校(45%)で、半数以下であった。「公立」で毎週土曜授業がある学校は11校中1校、隔週(または月に2回)の学校が5校(45%)であった。「私立」は、今回選んだ学校ではほとんどが土曜授業を行っていたが、1校だけ土曜授業のない学校があった。このように、「公立」の教育のベースとなる事項のために相違が生じているが、「私立」と比べれば、明確に土曜授業がないか、もしくは隔週実施の学校が多いといえる。

「私立」と「公立」の授業時間についても調べてみた。学習指導要領では1コマの授業時間は50分と定められている。「私立」では、1校(10%)を除き50分であったが「公立」では45分の学校が3校(27%)もあった。「公立」のほうが学習指導要領を守っているように思えたが、1コマの授業時間では、そうともいえないことがわかる。
「私立」と「公立」の授業時間数に、どの程度差があるのかは気になるところだ。一般的には、「私立」は教育熱心で時間数が多く、「公立」は少ないというイメージがある。土曜授業についても土曜授業を行わなければ授業時間数が確保できないのではないかと心配する保護者のかたも多かったと思うが、「公立」では毎週と隔週を含めると土曜授業がない学校のほうが少ない。
授業時間を確保したいのであれば、なぜ1コマ45分授業にするのだろうと思われるかもしれないが、45分にしている3校のうち、2校は7時間授業を行っており、コマ数を確保するために45分にしているのだ。
このように「公立」の土曜授業や1コマの授業時間の違いにも意味があることがわかる。「公立」は学習指導要領に沿った教育で、大学受験に対応できるよう、保護者のニーズにも沿った努力をしていることがうかがえる。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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