問題の難易・形式の分析 2[2012年度入試で何が問われたか<社会> 「社会科のアンテナ」を張って力をつける 第3回]

 首都圏を中心に国・私立中学校のべ119校の2012年度社会科入試問題を徹底分析。その傾向と対策について文教大学専任講師の早川明夫先生にお話しいただきました。

※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの早川先生の講演を抄録したものです。

※分析対象は首都圏の主な国・私立中学校と、首都圏以外では、ラ・サール中学校(鹿児島県)、海陽中学校(愛知県)、神戸女学院中学校(兵庫県)など20校です。公立中高一貫校は除き、複数回入試を実施した学校は、それぞれ1校分として計算してあります。



問題の難易・形式の分析 2

前回に引き続き、問題の難易や形式についてご説明します。

●分野別の出題傾向
 地理・歴史・公民の分野別にどの程度出題されたかを分析すると、以下の結果となりました。



 かつては、地理4:歴史4:公民:2の割合で出題する学校が多かったのですが、最近は歴史分野の出題ウエイトが高くなっています。歴史は、地理や公民に関連付けた出題がしやすいからです。その典型的な例が世界遺産です。たとえば、昨年は平泉が世界文化遺産に登録されました。平泉といえば藤原清衡が建立した中尊寺金色堂がありますが、これについて歴史的なことを問うだけではなく、平泉の場所(地理)や、世界遺産をあつかっている国際連合のユネスコ(公民)について問うこともできます。

●全般的な出題傾向
 2011年の東日本大震災がきっかけとなって、これまでの生活を見直したり、振り返ったりするようになった、という導入で始まる桜蔭中の問題文が、2012年度の全般的な出題傾向をよく表していると思います。2011年の東日本大震災を念頭におくことなしに、社会科の教師は出題内容を考えることはできなかったと思います。


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