2012年度入試問題を振り返る<国語> 学校別分析1 【麻布中、武蔵中】[2012年度入試で何が問われたか<国語> 首都圏上位10校の問題を徹底分析 第1回]
首都圏上位10校の入試問題が2012年度は「理性」「感性」のどちらにより寄ったかを軸に、平山入試研究所の小泉浩明先生にお話しいただきました。
※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの小泉先生の講演を抄録したものです。
2012年度入試問題を振り返る<国語> 学校別分析1 【麻布中、武蔵中】
麻布中 ⇒感性
麻布中は、毎年物語文が1題だけ出題されます。「友人・友情」「父・母・子」「兄弟・姉妹」「生命・死」などのテーマが頻出です。記述問題が中心であり、この傾向に変化はありません。出題数の少ない選択肢問題は記述問題に比べると非常に簡単であり、記述問題へのヒント・指針となっているようです。また、麻布中の特徴として、物語の「テーマ」を浮き彫りにしていく設問構成になっていることが挙げられます。
対策は、物語文における頻出テーマの理解と、記述の基本をきちんとマスターしておくことです。得点率の目安として36点以上をめざしましょう(60点満点)。なお、1問3~4点の問題で、誤字があると1点は引かれますから、これは大きいです。誤字には注意を払いましょう。
また、今年は問題用紙の注意表記に「解答はすべて、解答らんにおさまるように書きなさい」という表示があったのですが、これは今までいかに解答らんから出ていたお子さまが多いかということを表していると思えます。こちらも気を付けましょう。なお、2012年度は、最後の問題で明確な根拠がそれほど強くない「想像力を試すような問題」が出題され、感性のほうに揺れた年だったといえるでしょう。
武蔵中 ⇒理性
武蔵中は例年、物語文1題の出題で、麻布中と同様、頻出テーマは「友人・友情」「父・母・子」「兄弟・姉妹」「生命・死」などでした。しかし、2011年度、2012年度と2年連続で説明的文章が出題されました。
記述問題が中心の出題ですが、武蔵中は、解答スペースの大きさに特徴があります。記述問題に関しては、字数制限は無く、広く区切られた解答欄に書けるだけ書いてよい出題形式です。
また、内容面の特徴は受験生の「気持ちをいかに多面的にとらえられるか、すなわち多様性」を見ていることです。「人にはいろいろな気持ちがある」ということを理解しておきましょう。記述の際に多面的に考えないと、武蔵中ではよい解答とはみなしてくれないと思います。
2013年度の武蔵中の国語の出題がどうなるのかは、非常に興味深いところですが、対策は、物語文と説明的文章両方に備えておかなければなりません。物語文であれば、先ほどの「多様性」を意識した答案づくりを心がけましょう。説明的文章であれば、「対立関係」などによる「イイタイコト」の読み取りが重要になります。
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麻布中学校 10年間入試と研究 平成25年度用中学受験 2 | 武蔵中学校 10年間入試と研究 平成25年度用中学受験 16 |