うまく読書する習慣をつけたい[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小4男子(性格:大ざっぱ・弱気タイプ)のお母さま
質問
普段読書をあまりしません。うまく読書する習慣をつけたいのですが……。強制せずに本人から読書するようにしたいのですが、どうしたら良いでしょうか?
小泉先生のアドバイス
ご家庭で、「読書運動」を導入されるのもひとつの方法。
学校における「朝の読書運動」の広がりは、子どもたちの読解力の向上に大いに役立っているようです。その原則は、(1)みんなでやる、(2)毎日やる、 (3)好きな本でよい、(4)ただ読むだけ……というシンプルなものですが、どれも納得できるものばかりです。ご家庭で、この「読書運動」を導入されるのもひとつの方法かと思いますので、≪原則≫に沿って実施方法を説明します。
【みんなでやる】
基本的な考え方としては、≪家族で読書をする時間を持つ≫ということです。ご両親もそうでしょうが、ご兄弟も年齢が高くなるとなかなか参加することはできないかもしれません。しかし、たとえば夕食後、家族でテレビを見ながら過ごす時間があるのであれば、その一部を「読書の時間」とすることは可能でしょう。また、家族全員が無理であれば、ご本人とお母さん、そして小学生のご兄弟(姉妹)をメンバーとする読書会でも良いでしょう。
【毎日やる】
15~30分程度の短時間で良いですから、毎日行うことが大切です。たとえば、「平日の夕食後30分は読書の時間」と決めて、その時間は本を開くことを約束とします。飽きてしまっても、ほかの人の邪魔をしたり、ほかの遊びをしたりするのはルール違反です。その時間だけは、とにかく本を開いていなければなりません。これはある意味「強制」ではありますが、本を読むことを強いているのではなく、本を読む環境の中に入ることを強いているのです。つまり、無理矢理文字を読ませようとしているのではなく、文字を読む以外にはやるべきことがない状態に置くということです。静かに本を開いているのであれば、結果的に寝てしまっても仕方ないでしょう。ほかにやることがないので、本でも読もうかという気持ちになるまで待つということです。
【好きな本でよい】
本と呼べるものであれば、お子さまの好きなもので良いでしょう。マンガは本ではありませんが、図鑑など絵の多いものでもかまいません。お母さんの読ませたいものと、お子さまの読みたいものが違ってしまう場合も少なくないと思いますが、あまり焦ることなく好きなジャンルの本を自由に読むのが≪読書の時間≫の原則です。ただし、お子さまが手に取りやすいところにお母さんのおすすめの本をそっと置いておくことも良いでしょう。自然に手にとって、読み始める可能性は十分にあります。
【ただ読むだけ】
読書後の感想文などを書かせては興ざめです。あるいは、読書後の感想を口頭で言わせたり、筆者のイイタイコトを考えさせたりなども読書を嫌う原因になるかもしれません。ただし、お母さんもお子さまと同じ本を読んで、感想を交換するのは良いと思います。上からではなく、同じ立場で感想を述べ合うのは楽しいものです。
以上、ご家庭での「読書の会」について考えてみました。形は少々違っていても、すでに実施されているご家庭も少なくないと思います。お子さまに絵本を読み聞かせるのも、「読書の会」の始まりだと考えて良いでしょう。そして、お子さまが中学生くらいになると、自分だけで読書をしたくなることでしょう。また、中学受験をするお子さまは、高学年になると読書をするヒマもないかもしれません。せいぜい5年生の1学期くらいまでのお子さまを、「読書の会」のメンバーと考えるのが良いと思います。