かかりにくいエンジンをかけるには?[中学受験]

冬は、車のエンジンがかかりにくい。特にバッテリーが弱かったりすると、苦労する場合がある。勉強も同じで、一度エンジンがかかると快調に進むのだが、なかなかそこまでいけない子どもがいる。特にモチベーションがまだまだ弱い(バッテリーが弱いのと同じ?)と、エンジンがなかなかかからないことが多い。
そんなときはどうしたらよいかというと、勉強しやすいものから取りかかるのもひとつの方法である。たとえば算数が嫌いな生徒が、文章題から勉強を始めるのはどうしてもおっくうであろう。しかし計算演習なら、気楽に始められる。そしてこれらの学習を20分から30分行ったあと、文章題に取りかかることは案外スムーズにできるものである。自分の好きな科目から始める生徒もいると思うが、好きな科目であると調子にのってなかなか他の科目に移れず、結局は苦手科目を十分にやれずに放ってしまう場合があるので注意したい。やはりウオーミングアップということで、計算演習や漢字の書き取りなどからのスタートがよいかもしれない。

一つの科目を長時間学習していると、必ずダレてくる。読書も長時間だと、ストーリーだけ追いかけて雑に読んでしまうことがあるのと同じだ。1時間から1時間30分を一つの区切りとすること、他の科目も学習することが、適切な集中力を持続する学習方法である。そして科目を変えるときは、5分程度の小休憩をとることや、2時間から3時間学習したあとは15分から30分程度の大休憩をとることが集中力や、学習時の勉強の質を高めることにつながる。

中学受験に限らず、試験は「学習量」が結果に比例する。いくら要領のよい生徒でも、努力する生徒には最終的には勝てない場合が多い。しかし間違えてはいけないのが、「学習量」とは必ずしも「学習時間」だけの問題ではなく、「学習の質」にも大きくかかわるという点である。すなわち、

学習量=学習時間×学習の質

ということであり、「学習の質(つまり集中力)」が非常に高い場合は、「学習時間」がそれほど多くなくても、全体的な「学習量」が「学習時間」の多い生徒よりも多くなる場合もある。こういう生徒が「あまり勉強しなくても、なぜかできる生徒」なのであろう。
逆に、「学習時間」が長いのに「学習の質」が伴っていない生徒は、努力している(ように見える)割には成果が上がらない。そんな生徒の勉強している姿を後ろから見ると、体を動かしたり、ため息をついたりと、なかなか集中できていないことがわかる。こんな場合は1回の「学習時間」を短くしてでも、「学習の質(つまり集中力)」を高める必要がある。たとえば、40分間の学習を3回繰り返すことで、1時間の学習を2回繰り返した場合と同じ「学習量」にするという意味である。
このように学習は質も大切であるから、長時間勉強しているといっても、順調に受験態勢に入れたと安心してはいけない。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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