最初はいつも片付けから[中学受験]

本当の意味で「受験態勢に入る」には3カ月かかることや、5月の連休までに受験態勢に入ることが重要であることは「2月からのスタート」で既に述べた。ここで受験態勢に入っている状態とは、たとえば続けて1時間以上継続的かつ集中して勉強できる状態であり、しかも休憩を中間に入れるにしても3時間、4時間と長時間机に向かっていられることを意味する。最初のうちは、これがなかなか難しい。勉強して15分もたつと、机の上の物が気になるとか、本棚にある漫画をつい手に取ってしまう。少し疲れたということで、ベッドに寝転んでぼんやりしていると、時間はあっという間に過ぎてしまう。

小さいころから読書の習慣があるお子さまは、国語の勉強と称して本を読むことがある。しかし新6年生のこの時期からは、読書も考えものであろう。算数をはじめ理科・社会とたくさんすべきことがあり、しかも国語の点数を上げるにも読書は効率的な学習とはいえない。読書は5年生までに十分楽しんでおくべきことであり、6年生のそれはそろそろ学習ではなく、「遊び」または、「気分転換」であると考えたほうがよい。本を読んでいると、お子さま本人も勉強しているような気になって、ついつい学習からの避難場所になっている場合が多いので十分注意したい。

さて「受験態勢に入る」とか「勉強に集中する」といっても、なかなか今までの習慣や気持ちを切り替えることが難しい場合がある。そんなときはどうすべきか? たとえば、1日かけて勉強部屋(または勉強するスペース)の整理をするのもよい方法である。勉強部屋に漫画の本や雑誌があり、しかもすぐ手に取れるところにあったら、ついつい読んでしまうのは人情である。そういった邪魔物をお子さまの目の前から追い出すために、まとめて押し入れにしまっておくのである。しかもなるべく取り出しにくいように、ダンボールなどに詰め込んでしまうのがよいだろう。読みたくなっても、出しにくい場所なら面倒くさいし、万一取り出したとしてもまた元の場所に戻しておくことをルールとしておけばよい。そのうち面倒になって、取り出さなくなる。これを「1年間の封印」と称して、ゲームやテレビ・ラジオ(お子さまの部屋にあれば)などについてすべて行うのである。しかもお子さま本人にやらせるとよい。一つひとつ「封印」することで、受験生であることの自覚や覚悟が生まれてくるのだ。受験生である本人が、勉強の邪魔になる品々を「封印」するという、受験態勢に入るための「儀式」を行うのである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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