2月からのスタート[中学受験]

2月の入試が一段落して各塾から合格実績の発表が出始めると、いよいよ新6年生が主役になったという「気持ちの切り替え」が行われる。ただしこれは塾やご両親だけが切り替えただけで、お子さま本人は「気持ちの切り替え」を行っていない場合が多い。今までのようにのんびりと勉強するのではなく、長時間、質の高い学習をこなすことは、最初のうちはなかなか大変であろう。1時間もイスに座っていられないお子さまもまだまだいると思うが、早い時期に気持ちを切り替える必要がある。

気持ちも新たに勉強を始めても、本当の意味で受験態勢に入るにはしばらく時間がかかる場合も多い。その原因の1つとしては、真剣に勉強しても成果がなかなか成績に表れないことが挙げられる。一般的に成果が出るには3カ月かかるといわれているが、たとえばこの2月から一生懸命勉強を始めても、模擬試験などで偏差値が5上昇したなどという顕著な変化が表れるのは、少なくとも5月頃になるということである。勉強も最初のうちはかなり苦しいものなので、なかなか成績が上がらないと「自分の学習方法は間違っているのではないか?」とか、「自分の通っている塾が良くないのではないか?」とつい考えがちになる。自分の勉強方法を疑ってしまうと、学習に対するモチベーションが低下してしまい、上がる成績も上がらなくなってしまう。真剣に学習に取り組め、その結果が少しずつ出始めて、ますます学習に対する意欲が湧いてくるという「良い循環」になることが、本当の意味で「受験態勢に入った」といえるのである。

それではいつまでに「受験態勢に入る」必要があるだろうか? これは逆算してみればすぐわかるが、少なくとも今年の5月の連休までには受験態勢に入っている必要がある。なぜなら、もし5月までに学習のリズムにのれないと、腰がすわらないままズルズルと夏休みに突入してしまう危険性があるからだ。ご存じのように夏休みという長期休暇は、受験勉強に集中できる期間である。この最も大切な時間に集中して勉強できなければ、希望する成果をあげることはまず難しいであろう。

「5月の連休までに受験態勢に入る」ためには、いよいよ自分たちの受験が始まったことを意識させ、お子さまを一日も早く真剣にさせる必要があるのだ。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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