東京の公立中高一貫校人気は下降?[中学受験合格言コラム]

中学受験人気を象徴していた東京の公立中高一貫校人気に、少し変化が出ている。というのも今年は事前の書類審査制度をなくしたにも関わらず、トータルで6,061名の応募数と、昨年の6,670名に609名及ばなかったからだ。つまり、約10%減少したことになる。

このうち、もっとも減少が大きかったのは、上位の私立併願が相当多くなりそうな東京都立小石川中等教育学校で、前年に比べると474名と大幅に減少した。しかし絶対数で減少したといっても、応募数1,433名と都の中高一貫校のなかでは最大多数となっており、前の年が2桁の倍率であったことを考えれば、男子9.6倍、女子8.3倍となり、確かに緩和したものの、相変わらずの厳しい入試状況である。
次いで減少幅が前年比78%、338名減となった東京都立桜修館中等教育学校も、昨年2桁であった女子の倍率が8.9倍となり緩和したものの、男子は昨年の8倍が今年は6.2倍となり、人気は確かに下降したといえる。
さらに、前年比約10%、130名減の東京都立両国高等学校附属中学校も、実は昨年は2桁の倍率であったが、今年は男子9.3倍、女子10.2倍と十分に高い倍率をキープしている。

つまり減少したといっても2桁の倍率をもつ学校が敬遠された、という意味合いが強い。

逆に増加したところは東京都立白鴎高等学校附属中学校東京都千代田区立九段中等教育学校の2校で、白鴎は昨年の落ち込みがひどく、ほかの4校が新設で白鴎は2年目となり話題にのぼりにくかった。つまり2年目のジンクスというべき状況があった。いわば復調というべきだろう。
一方の九段についてはB区分(千代田区民以外)で10%増となっており、しかも昨年も2桁の倍率であったことを考えると、まさに人気が継続的に推移している。
つまり都(区立)の中高一貫校のなかでは九段のみが昨年に続く人気上昇といえる。ところで、男女別にみると、その九段も女子が前年比112%、54名増に対し、男子は前年比104%、15名増と実質は女子の増加分である。実はほかの応募状況も同じなのだが、都の中高一貫校は女子の応募数が男子より多めになっている。
しかし、そのなかで小石川だけは、昨年男子が961名に対し女子が946名と男子が多かったし、今年はその差がさらに開いて、男子769名に対し女子が664名と男子のほうが100名近く多くなっている。

こうして都の中高一貫校5校は、前予想の10数倍という事態は避けられたものの、全体としてみれば、高値安定の高倍率の入試状況に変わりはない。

今年初めての募集となった、さいたま市立浦和中学校は男子23倍、女子27倍、千葉市立稲毛高等学校附属中学校は男子17倍、女子23倍と、入試というより抽選なみの倍率だ。応募数も1,600名から1,900名と大規模な入試となった。これは従来あった国立大付属などと比べ、かなりの人気であり、学力試験でない適性検査という形式がここまでの応募数に結びついていることがわかる。




参考:Benesse(ベネッセ)教育情報サイト「バーチャル中学進学フェア 公立中高一貫校 問題分析から見えた受検対策」
2006年5月13日東京国際フォーラムにて実施した「進学フェア2006」より、公立中高一貫校への進学をお考えの保護者のかた向けの講演「公立中高一貫校 問題分析から見えた受検対策」の実況動画をご覧いただけます。平成18年度は東京に4校が開校するなど、注目を集めている「公立中高一貫校」。中学から高校までの6年間でゆとりある教育を受けて、幅広い教養と知識を身につけられることが人気の一因です。公立中高一貫校・都立中高一貫校の受検をお考えの保護者の方向けに、適性検査問題を分析し、具体的な勉強のしかたや対策の立てかた、家庭でできる取り組みをご紹介します。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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