不本意入学か公立中進学か[中学受験]

お目当ての中学校にふられ、あまり気の進まない私立中学校、もしくは公立中高一貫校にしか合格できなかったケースでは果たして進学すべきか。それとも、地元公立中学校にするのかと迷うことになる。特に2007年入試は大幅な受験者増でこうした恐れは例年以上にあると言える。

ここは割合と男女で分かれるのではなかろうか。というのも男子の場合は、高校受験で一回り成長することも少なくなく、受験先の高校も上位中堅校が少なくない。しかし、女子の場合、既に成長が早く高校受験で大きく成績を伸ばすというよりも、日々コツコツ、大学受験に向けて中高一貫校でやっていったほうが伸びが大きそうなことと、高校受験での上位中堅校枠が少ない点が気にかかる。

ただ、男女ともやや変則ルールだが中途入学という手法もあるにはあるので、条件が合えばそういった方向も検討してもよい。
不本意入学でも入学すると良いと思える場合は、やはりその学校の良いところが入ってみて初めてわかり、入学後にむしろ満足度が上昇するケースである。
当然、その逆もあるので、その場合は公立中学校にしたほうが良いとも言える。ただ少し費用が賄えるなら、まずは入学してみてその学校の良さがどんなところになるか、試してみても良いのではないだろうか。ただし、1年生の1学期くらいの間には判断して、転学するなら中学1年生の2学期からそうすべきだろう。むしろそれを過ぎれば中学校の間は在籍して高校での転学を考えたい。

もっとも完全に不本意なら受験をしないはずなので、受験をしたということはその不本意度はグレーゾーンというべきだろう。
筆者の場合もグレーゾーンであったのだが、入学時に頂いた校歌や応援歌のCDを聞き、なかなか良いものだったので、口ずさむうちに親がその学校のあり様に親近感を抱くようになった。そして機会があるごとに信頼度が増していって、今では親子ともども大変深い満足度を得ている。

ただし、公立中学校も捨て難い魅力をもっているところがあって、特に運動クラブの充実はなかなかのものがある。また教科の先生はすべてに良いということはないにせよ、英語や数学についてはさすがに腕の良い先生方が少なくない。ただ、公立中進学の場合では難関高校を考える際、進学塾とセットで考えなくてはいけないようなところがあって、いささか生活が窮屈な面がある。また、内申が絶対評価であることとの関連で、意欲、態度、関心の評価があり、この点も中学校生活を管理的にしている。こうした日常にうまく適合することが必要なことと、やはり小暴力やいじめのマネジメントが私立ほどには信頼度が高くないのも事実である。

従って、公立中学校を選択した場合、すべてを求めるのではなく、むしろ近いことと、負担が少ないこと、受験勉強がマイペースでできること、などというメリットと割り切ってはどうだろうか。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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