肉体面のチェック[中学受験]

 夏はとにかく疲れが残るものである。暑くて睡眠が十分に取れないとか、昼間の冷房で体調が悪くなることが非常に多い。健康管理には十分注意してもらいたいし、夏の疲れが秋になって出ることも十分に考えられる。疲れがたまっている場合には、適切な休養を取らせることが大切であろう。

 ところで2学期からの追い込みでは、なんといっても「体力」が勝負の決め手になる可能性が高い。それでは今までは何によって勝負が決まってきたのかというと、少なくとも1学期までは、「真面目さ」であると考える。コツコツと真面目に勉強に取り組んできたお子さまが、それに見合った成績で推移してきたのである。しかし2学期から受験直前までの期間は、ほとんどの受験生が「真面目」になる。かくして「体力差」による、逆転は起こりえるのである。例えば理科・社会で差を付けてきたお子さまは、その差を縮められる可能性がある。なんといっても理科・社会は2学期からの追い込みがきく科目であるから(もちろん今までに、基本的なことをやってなくても大丈夫という意味ではない)、十分に勉強できる時間やそれを支える体力があれば追いつき、追い越すことは可能である。

 塾の中で男の子の上位が、女の子の上位を逆転することが多くなるのも、2学期からである。つまり女の子の方が真面目で成績も上位だったのが、これではいかんと、ずぼらな男の子が体力勝負で勉強して成績を伸ばすということである。もちろん男子校・女子校、または男女共学でもそれぞれの定員が決まっているところは男女間の争いを気にする必要はない。しかし塾内であったとしても、追いつかれ、逆転されるのは気持ちの良いものではないので、「そういうこともある」ということを一応知っておいて良いだろう。

 そしてもっと重要なことは、男子内、女子内における個々の体力差である。体が大きくても疲れやすいお子さまもいるので、体の大きさだけでは決められないが、とにかく増加した勉強時間を耐えうるお子さまが成績をアップさせることは確かである。今までサボってしまったが、体力も気力もあるお子さまはこれからが勝負と言えるかもしれない。逆転劇は毎年起こっているのである。

 それでは体力がなければどうするか?それは、今までにつけた差をキープすべく、現在成績が良くても安心せずに、コツコツ努力を続けることであろう。そして、2学期からはますます戦略的な学習を心がけることである。そしてそのカギは「過去問演習にある」と言っても過言では無い。過去問のやり方は2学期にお話ししたいと思う。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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