合格を確実にするために[中学受験]

 さてこうして中学受験の25%の合格可能性に対するアプローチの仕方も少しずつ歩を進めてきたが、これからいよいよ本丸の偏差値50台以上の学校の合格可能性について述べていきたい。

 既に指摘してきたとおり、このレベルの学校はおしなべて25%の合格可能性しかないのである。勿論、個々にみるとそうでもなくて、2倍台50%クラスのところもあって、それはそれでラッキーではないかと言いたいが、こればかりは志望なので倍率の高低で選択するというものでもないだろう。先にも申し上げたとおり、確率25%を50%や80%にもっていくのは簡単に言えば偏差値を上げればよい。

 偏差値はどういう方法で上げるのがよいのか。これは私共の主催している「わが子が伸びる親の『技』研究会」で金廣志先生がおすすめになる方法が一番わかりやすいし、私自身もそういう方法が効果的だと思い、わが子でも実践してきた。

 つまり正答率の高い問題を落とさない、というシンプルな方法だ。但し、これは前提としてそういうことを意識して取り組まないといけないので、正答率の出るテストを活用する必要がある。その正答率はまず70%ついで65%というように、目標値を定めて易から難へと段階を踏んで、そのレベルの問題なら必ず正答する、というところまで完成度を高めていってほしい。少し丁寧に時間をかけてやりさえすれば、十分可能なことではあるけれども、経験的にはこれで偏差値50まではわりに楽に到達するはずだ。

 次いで、できれば55までもっていってほしいが、受験生の意欲さえあればこれもそう難しいことはないだろう。

 しかしその先はそう簡単ではない。ではどうすべきかと言えば、あとは過去問などで具体的な問題でデータを積み重ねていく方がよい。つまり偏差値55までは高い正答率の問題を段階的に埋めていく方法で、恐らくどなたでも大丈夫である。するとこれで偏差値55までの学校に関しては80%の合格可能性を確保できる。勿論、「そうはいきません、わが子は上手く伸びません。」というお子さまもいる。その場合は学力のせいではなく意欲のせいだと思って、まず間違いない。これは実は偏差値60以上でも同じことで、一定以上伸びない(例えば62以上伸びない・・・)のは意欲の問題と捉えて欲しい。

 もう一つの問題、つまり偏差値55以上の学校の合格可能性を上げたい、ということについても別の問題、つまり偏差値を上げる方法には限界があるだろう。というのもそのケースではほとんど時間の問題があって、仕上がりが間に合わないのだ。従ってここは傾向と対策に絞り込んで、その学校の過去問から対応力を上げていく方が望ましいし、実際上効果的だ。試してみて欲しい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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