算数において、問題点を具体的にするには?[中学受験]

 問題点が漠然としていると、それを解決できない場合が多い。例えば算数において、「応用問題が苦手である」と悩んでいても、なかなかその解決の糸口をつかむことはできない。このような場合は「応用問題とは何か?」と具体的に考え、それに対して対策を練っていけば良い。「応用問題」の定義はいろいろ出来ると思うが、文章題については便宜的に以下の三つとしよう。

 (1)解法の過程が長く複雑な問題
 (2)解法に必要な単元が複数の問題(複合問題)
 (3)あまり出題されない単元や解法の問題

 まず(1)に関してだが、基礎・基本の問題の解法過程は理解しやすいように短いのが普通であるから、「解法の過程が長い問題」は解きにくいであろう。対策としては、問題を数多く解いて慣れることもあるが、それとともに「図」や「表」を使って問題の内容を整理し、解法の糸口を見つけられるようにすることも効果的である。

 (2)の複合問題は上位の学校でよく出てくる。6月の今の時期ではたまに扱う程度かもしれないが、夏休み以降はお子さまを悩ませる問題になるであろう。例えば「速さ」と「つるかめ算」を使う問題などが、複合問題の良い例である。このような問題ではある程度決まった解き方があるので(例えば「面積図」)、それに慣れる必要があるのだが、「複数の単元を使って解く問題もある」という意識を持つことも大切である。複数といってもせいぜい二つだから、解法のパターンを定着させ、意識して問題に取り組んでいけば解法の糸口が見えてくるはずである。

 (3)に関しては少々やっかいかもしれない。一般的に受験の算数(数学)は、演習によって定着させた「解法のパターン」で問題を解いていくことが基本である。もちろん算数(数学)に対して特別に資質のある生徒は、初めて見たような問題でもその場で解法を考えて解いてしまうかもしれない。しかし彼らはあくまでも例外である。しかも「初めて見たような問題」でも、実はすでに習った問題の変形である場合が多いのだ。これを考えれば、「あまり出題されない単元や解法の問題」に対する有効な対策としては、志望校の出題傾向を考えて頻出のものから学習することである。例えば、「数の性質」「場合の数」「規則性」の問題は偏差値60以上の学校に頻出だから、それらの学校を志望するお子さまは繰り返し演習して、問題慣れしておく必要がある。またこれも上位校で出題される問題であろうが、フィボナッチ数列(第N項は第N−2項と第N−1項の和であるような数列:1,2,3,5,8・・・)などは一回はやっておかなければ、本番ではまず解けないと思う。ちなみに学校別の対策は、2学期からの過去問対策で通常行うことになる。

 以上、「応用問題」をより具体的に(1)〜(3)に分類してみた。「自分の弱点は(1)〜(3)にあるか?」、「それは自分の志望校の頻出問題に関連しているか?」などを考えることが、問題点を具体的にするということである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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