計画・実施・評価の方法を身に付けることの大切さ[中学受験]

 主体的な学習で必要なことの一つに、「計画をたてる」ことがあげられると思う。しかし、実はこれだけでは不十分である。実社会を見れば分かるように、計画だけで済ませている企業はあり得ない。そこには必ず、計画(plan)・実施(do)・評価(see)の流れがある。そしてこの流れは、決して実社会における専売特許ではない。なぜなら、これらはものごとを円滑に行なうための方法論だからであり、是非ともお子さまに身に付けさせたい手法でもある。

 もちろん中学生になったからには、自分で目標を掲げ、計画を立て、実施し、途中で進ちょく状況を確認し、出た結果と目標に照らし合わせて、良かったのか悪かったのかの評価や反省を本人がしなければならない(目標設定や評価だけはご両親も参加しても良いだろう)。しかしこのような方法論は生まれながらにして会得しているわけではないから、最初は教える必要がある。計画の立て方、実施の方法、途中の進ちょく管理方法、評価方法などなど、市販されているノウハウ本を参考にされても良いし、あるいはご両親が実社会で日々行っているであろう方法論を学習に置き換えても良い。そして一度この方法論を教えたら、次はお子さまに自分でやらせてみるのが良い。

 しかしながら現実にはまったく教えずに放任しているか、多くのことをご両親が、あるいは家庭教師や塾・予備校が代行しているケースが多いようであり、どちらも弊害があると考える。やはり自分が主体でこれらの流れを行うのが、中学生以降の勉強の取り組み方である。

 学校の定期試験を例にやり方をざっと説明する。まずは目標設定から行うが、「クラスでトップ」を取るという目標でも良いし、もう少し控えめに「数学で80点以上取ろう」でも良い。次に該当の科目に対して、「どのように」「どの位」「いつまでに」の計画を立て実施していく。実施の方法論がわからなければ先生に聞くのも良いだろう。そして途中で無理や無駄があれば修正していき、出た結果(点数)と最初に立てた目標を比べて良かったのか、悪かったのかを評価する。もし到達していなければ何が悪かったのかを反省し、それらを達成するためには次回の定期テストでは何をすべきなのかを考える。得点の高い友だちの勉強方法を参考にしても良いだろう。これをくり返していくわけだが、自分の立てた目標に到達するための努力こそ自主的な学習と言える。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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