小学生と中学生からの学習の違い[中学受験]

 以前、中学受験は親子が二人三脚でゴールを目指すと述べた。つまりかなり試験が迫らなければ、受験生本人は自分ごととして意識できないということである。しかし中学生からの学習はこれでは困るし、勉強する姿勢も“勉強させられる”のではなく、“自分から勉強する”にならなければいけない。小学生時代は、どうしても“勉強させられる”という意識が強いが、中学生になってもこういった意識をうまく切り替えられない生徒は、机に向かっている(ように見える)時間が長くてもなかなか成果が出ない。中学からの学習は量的にも・質的にも飛躍的に増大していくので、“いやいや”の取り組みや“なんとなく”の学習ではなく、主体的な学習が必要なのである。

 それでは、主体的な学習とはどんなものであろうか。これは単に学校の宿題をこなしていくというのではなく、自分から課題を求めていくという姿勢であろう。しかしこのような姿勢を身に付けることは難しい。これは大人でもなかなか難しいことであるから、中学生ならなおさらであろう。それでも少しずつ身に付けさせるための方法論としては、宿題以外の学習を自分に課すことが必要になる。それが学校の予習・復習なのか、あるいは添削や塾などの学校外の学習なのかは、お子さまの現在の学力によるであろうが、少なくとも「自分でやっている」と言う意識は不可欠であろう。特に添削指導は私の経験からも「自分でやっている」という意識は強いようである。もちろん最初はあまり楽しくないし、苦しいものでもある。しかしある程度学力が付いてくると「達成感」や「満足感」を感じ、その喜びがまた次の学習の原動力になるのである。

 「中学受験をふり返った時、勉強していて一番楽しかったのはいつ?」とたずねると、「志望校の過去問演習をしていた時」と答える生徒が意外に多い。もう少し正確に言うと、「過去問演習をしていて、どんどん点数が上がっていったり、バリバリ問題が解けた時」であろう。そしてそのような生徒は、志望校に合格した確率がかなり高いはずである。このように“だんだん出来るようになってくれば”との条件付きではあるが、勉強は楽しいものなのだ。そのレベルまで達成するまでの根気がなかなか続かないのが困りものではあるが、視点を変えて、“少し勉強して、少しの進歩を喜ぶ”ことが、本人にもあるいはまわりの人たち(ご両親や先生)にも大切なことであろうと考える。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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