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化石燃料とは?日本で使われているエネルギーと世界各国との資源の違い

化石燃料とは、石油や石炭、天然ガスなどです。資源の少ない日本では、これら化石燃料の多くを輸入に頼っているのが現状です。しかしながら、化石燃料の量には限りがあり、地球温暖化の原因にもなります。そこで本記事では、今後の課題とそれに対する対策などについて紹介します。

日本で使われている化石燃料などのエネルギーの種類

日本で使われているエネルギーには、石油・石炭・天然ガスなど、さまざまな種類があります。これらは燃やして火力発電に使われたり、加工されてガソリンや都市ガスの形で利用されたりしています。

しかし、これらのエネルギー資源は、そのほとんどを輸入に頼っています。2018年の「主要国の一次エネルギー自給率比較」によると、日本のエネルギー自給率は11.8%と、とても低いものになっています。

安定したエネルギーを供給するためには、輸入先をいろいろな地域に分けるなどの対策が必要でしょう。

日本と世界各国で使われているエネルギーの違いとは

日本のエネルギーでは石油の割合が大きく、全体の約40%を占めています。

この割合は国によって大きく変わります。たとえば、アメリカは石油と天然ガスの割合が大きいですが、中国では石炭、ロシアは天然ガスの割合が大きくなっています。これは、その国で石炭や天然ガスが大量にとれることが理由として考えられます。

また、フランスは原子力の割合が大きくなっていますが、これは国の方針で原子力発電を積極的に行っているためとされています。

化石燃料とは

化石燃料とは、石油、石炭、天然ガスなどのことを指します。化石燃料は、何億年も前の植物やプランクトンの死がいが海の底などに溜まった後に分解され、熱や圧力によって変化してできたものです。

化石燃料は、火力発電所で使われるほかにも、石油からプラスチックの製品を作ったり、ガソリンや灯油の原料になったりするなど、さまざまなことに使われています。

■1:化石燃料を活用する利点

化石燃料には、それぞれ利点があります。まず、石炭には「値段が安い」というメリットがあります。また、いろいろな国でとれるため、調達しやすい点もメリットでしょう。

天然ガスも多くの国でとれるため、安定して供給される資源となります。CO2が排出される量がほかに比べて少ない点もメリットと言えるでしょう。

石油には「貯蔵が簡単」というメリットがあります。これらの良い点を活かせるように組み合わせて使うことが大切です。

■2:化石燃料は将来どうなっていくのか

日本だけでなく、世界でもエネルギーの消費量は毎年増えています。それに伴い、化石燃料の消費も増えていく流れにあります。

ここまで見てきたように、化石燃料は便利なエネルギー資源ですが、その一方でさまざまな問題も潜んでいます。

ここからは、化石燃料を使い続けることで考えられる将来の課題について2つ紹介しましょう。

化石燃料を使用することによる地球温暖化問題

今世界で問題になっている地球温暖化の主な原因は、CO2(二酸化炭素)です。化石燃料の消費量が増えると、CO2の排出量も増えます。地球温暖化を防ぐためには、日本だけでなく、世界でCO2の排出量を減らす努力をする必要があると言えるでしょう。

枯渇が心配されている

先述のとおり、化石燃料は大昔の植物や動物の死がいが変化してできたものです。その量には限りがあり、このまま化石燃料を使い続けると、地球にある化石燃料がなくなってしまうのではないかと懸念されています。

「世界のエネルギー資源確認埋蔵量」によると、今のペースで化石燃料を使い続けた場合、石炭は132年、石油や天然ガスは50年でなくなる可能性があるとされています。

今後、新しく鉱山が発見されたり、技術が進歩して効率よく発電できるようになったりすれば、この数字が変わる可能性はありますが、化石燃料が限りある資源ということを忘れないことが大切でしょう。

化石燃料である石油を取り巻く問題とは

日本は、エネルギーの約4割を石油に頼っています。そして、その石油のほとんどは、海外から輸入しています。

石油はエネルギーになるだけでなく、ガソリンやプラスチック製品の原料にもなる大切なものです。ここでは、この石油を取り巻く問題について説明します。

■1:原油価格は不安定である

原油の値段は、需要と供給のバランスによって常に変わっています。一時期は安定した価格が続いていましたが、最近は中国やインドなどの新興国で石油を多く使うようになったことや、主な産地である中東で政情が不安定であることにより、価格が変動してきています。

燃料価格が高くなると、電気料金も値上がりします。原油価格の不安定さは、輸入に頼っている日本にとっても大きな問題と言えるでしょう。

■2:中東地域の治安によって供給が左右される

石油の主な産地は中東地域です。日本は石油の多くを中東からの輸入に頼っていますが、中東地域は政情が不安定です。争いが起こると石油が大きく値上がりしたり、石油の供給が止まったりする可能性があるでしょう。こういった自給率の低い現状は、エネルギー安全保障上でも多くの課題があると言えます。

化石燃料についての問題が世界規模となっている

近年、世界のエネルギー消費量を上げているのは、中国やインドなど、アジアを中心とした新興国が中心だと言われています。

経済発展には、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料が必要です。これからも新興国の成長は続くと思われているため、これらの国での化石燃料の消費は大きな問題となっています。

化石燃料に頼らないこれからのエネルギー3つ

限りある化石燃料を使い続けることには、さまざまな問題があります。これらの問題に対応するためには、自給率や経済性、環境への適応を同時に進めて行く必要があります。

その中で、新しい日本のエネルギー構造のあり方も考えられている状態です。ここからは、化石燃料に頼らない、これからのエネルギーについて3つ紹介します。

■1:太陽光や水力・風力発電など自然を利用する

近年では太陽光や水力、風力や地熱など、自然の力を利用した再生可能エネルギーの利用が進められています。

再生可能エネルギーは国内で生産でき、温室効果ガスを出さない重要な国内のエネルギー源です。しかし、発電コストが高いことや、天候・季節などで発電量が大きく変わるというデメリットがあります。

そのため、再生可能エネルギーを広めていくには、これらの課題に取り組んでいくことが大切になります。

■2:複数のエネルギーをミックスさせる

化石燃料にも再生可能エネルギーにも、それぞれメリットとデメリットがあります。

限りあるエネルギー資源を大切にし、CO2をできるだけ出さないようにするためには、エネルギー源ごとの強みを生かし、欠点を補えるようにしなければなりません。合わせて、エネルギーを供給する仕組みを考えることが必要でしょう。

■3:LNGを利用した火力発電にしていく

LNGとは、液化天然ガスのことで、天然ガスを冷却して液体にしたものを言います。ガスを液体化することで、気体の時よりも体積が小さくなるため、多くの量を一度に輸送できます。

またLNGには不純物が少なく、石油や石炭に比べてCO2の排出量が少ないという特徴があるため、地球温暖化の防止に役立つエネルギーと言えるでしょう。

今後、LNGを利用した火力発電にしていくために、安定してLNGを調達できる取り組みを行うことが大切になります。

日本で使われているエネルギーごとの使い道3つ

日本ではさまざまなエネルギーが使われているのは前述のとおりですが、それぞれの使い道には違いがあります。

同じ化石燃料であっても、天然ガスと石油、石炭では得意な分野が違います。ここからは、それらの使い道について紹介していきましょう。

■1:天然ガスの場合

天然ガスの場合、約6割が発電用に使われます。また、約3割が都市ガスとして使われ、残りは工業用の燃料などにされています。

都市ガスは、以前は家庭で使われることが多かったですが、近年では工業用に使われることも多くなりました。

■2:石炭の場合

石炭は主に電気業で使われることが多く、半分を占めています。次に鉄鋼業でおよそ3割使われています。このデータから、石炭は電気業と鉄鋼業の2つの業種で主に使われていることが多いとわかるでしょう。

■3:石油の場合

石油の場合、そのままの状態で使うことはできません。まず製油所で精製され、さまざまな石油製品に分けられます。

2015年の調査によると日本では、石油の42%を自動車、24.1%が化学繊維やプラスチック製品などの原料に使われています。

化石燃料などのエネルギーは今後の環境と安定供給のバランスを考えることが必要

化石燃料などのエネルギーは今後の環境と安定供給のバランスを考えることが必要 化石燃料などのエネルギーは今後の環境と安定供給のバランスを考えることが必要

日本では、エネルギーの多くを石油や石炭などの化石燃料に頼っています。しかし、化石燃料には限りがあり、また、地球温暖化の原因になるCO2を排出するという問題があります。

それらの課題に対して、太陽光や水力など自然の力を利用した再生可能エネルギーを使うこと、それらのエネルギー源を組み合わせて使うことが大切です。

そして、経済の発展にはエネルギーが必要です。今後は、地球環境と安定したエネルギーの供給バランスを考えた、エネルギー政策がさらに必要となるでしょう。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

エネルギー問題に取り組むことは、SDGsの「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の目標に関係します。

この目標では、すべての人が手ごろな価格で近代的なエネルギーを使えること、環境によいクリーンな再生可能エネルギーを増やすことを目標にしています。

ほかにも「産業と技術革新の基盤を作ろう」「気候変動に具体的な対策を」にも関係していると言えるでしょう。

[参照元]

『2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)』(資源エネルギー庁)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2020_1.html

『再生可能エネルギーとは』(資源エネルギー庁)

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html

『第3節 一次エネルギーの動向』(経済産業省 資源エネルギー庁)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2017html/2-1-3.html

『第2節 環境制約と成長を両立する省エネルギー・再生可能エネルギー政策』(経済産業省 資源エネルギー庁)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2017html/1-2-2.html