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日本で行われている子どもの貧困対策4つ
支援者が知っておくべきこととは?

日本で行われている子どもの貧困対策についての概要、また4つの支援の具体例を紹介します。貧困は連鎖であり、根本である経済支援によって、損失や財政負担の減少が可能になるでしょう。また貧困は社会全体の問題であり、関心を持って取り組むことで連鎖を断ち切れるでしょう。

子どもの貧困対策が必要な理由とは

子どもの貧困対策が必要な理由とは 子どもの貧困対策が必要な理由とは

日本には、生まれ育った環境によって、十分に食事をとれなかったり、教育を受ける機会が持てない子どもたちがいます。

実際に「貧困」と自覚している子どもや保護者は少なく、支援を求める方法を知らなかったり、周囲の目を気にして適切な支援を求めないケースもあります。このため、子どもの貧困は周りにはわかりづらい、といわれています。

貧困の連鎖は、子どもたちの将来の選択肢を狭めることにつながり、社会の大きな損失となります。子どもたちの人生を豊かなものにするためにも、貧困の連鎖を断ち切る必要があります。

■子どもが貧困になってしまう原因とは

子どもたちが貧困になってしまう理由として、まず、保護者の収入の問題が挙げられます。仕事ができない状況であったり、非正規雇用やアルバイトなどにより、収入が少ないといった根本的な原因がある場合です。

また、1人親家庭の増加も原因の1つです。未婚や離婚による1人親家庭は、保護者が養育費を払っていないケースが多く、貧困の原因といわれています。

このように、保護者による不安定な収入や家庭環境の変化が、子どもたちが貧困になってしまう理由といえるでしょう。

子どもの貧困対策を行うことで得られる効果やメリット3つ

ここでは、子どもの貧困対策によって得られる効果やメリットを、3つ紹介していきます。

主に、生涯所得が増加、国の財政負担が減少、教育格差の減少が挙げられますが、それぞれにどのようなメリットがあるのか、説明していきます。

■生涯所得が増加する

経済格差が教育格差・機会の格差を生み、その結果、生涯所得に大きな影響を与えることになります。

日本では、最終学歴や正規雇用、非正規雇用といった、形態による所得の格差が存在します。

経済格差から十分な対策により、生涯所得を増加させるメリットが生まれるでしょう。

■国の財政負担が減少する

日本財団の調査では、貧困家庭の子どもを支援せず放置した場合、15歳の子どもの1学年だけで、社会に及ぶ経済的損失が、約2兆9千億円に達すると公表しています。また、政府には、約1兆1千億円の財政負担が生じるとしています。

教育格差に対する対策により、国の財政負担が軽減されることが分かるでしょう。

■教育格差が減少する

上記2つでも記載したように、貧困は経済格差から連鎖しています。

現在の日本では、経済格差がそのまま教育格差へと直結している風潮があります。

根本である、経済格差の対策がなされれば、貧困層と富裕層との教育格差の二極化も防げるでしょう。

日本で行われている子どもの貧困対策4つ

現在の日本で行われている、子どもの貧困対策について紹介していきます。

ここでは、教育支援、経済支援、生活支援、就労支援といった4つの支援が、どのようなものなのか説明していきます。

■1:教育支援

家庭の経済状況にかかわらず、子どもたちが十分な教育を受けられるよう、国から支援が行われています。

幼児期から高等教育段階まで、切れ目のない教育費負担の軽減や、学校をプラットフォームとした総合的な対応など、貧困対策の観点から支援を受けることが可能です。

■2:経済支援

現在、政府が行っている生活・経済支援は、児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金の貸付、養育費及び面会交流に係る相談支援の実施、などがあります。

ひとり親の家庭に生活や児童福祉の安定のために支払われる支援や、「養育費や面会交流は子どもの健やかな成長を支える車の両輪」と掲げられている支援や相談が受けられます。

どのような支援が受けられるか、相談してみるのも良いでしょう。

■3:生活支援

生活支援事業では、貧困層や生活困窮者のために設けられた、様々な制度があります。

自立のための相談支援や、生活や就労のために必要な住戸の確保を支援しています。そのほかにも、家庭の経済状況悪化による住戸の消失を防ぐ、住宅セーフティネット制度などもあります。

子どもの貧困対策として、家庭の生活環境や経済を支援することにより、子どもを貧困から守れるでしょう。

■4:就労支援

就労支援とは、1人親などが、就労のために、学習や職業訓練を受けたりできる支援を指します。

主に、公的職業訓練、住居確保給付金の支給、家計相談支援事業、就労訓練事業、一時生活支援事業などが挙げられます。

家庭の経済状況が安定することによって、子どもの教育格差をなくし、生活環境が安定するでしょう。

民間で行っている子どもの貧困対策2つ

行政が行っている支援とは別に、民間の支援による貧困対策もあります。

認定NPO法人や公益財団法人など、事業の様々な活動によって支援の輪が広がっています。

ここでは、民間による子どもの貧困対策を2つの紹介していきます。

■1:寄付で支援

事業所によって様々ですが、寄付による支援が事業費や活動費となっている場合が多くみられます。

集まった寄付により、子どもたちの貧困対策として、居場所の支援、学習の支援、食事の支援などの活動費にあてられています。

生まれ育った環境や格差社会によって可能性を閉ざさせることなく、希望をもって成長するためにも、寄付は子どもたちの大きな支えとなっているでしょう。

■2:子ども宅食

食事の支援として、宅食があります。

家庭の経済状況、保護者の仕事により1人で食事をとる環境にある子どもたちのために、食品や生活必需品を配布する支援活動です。

また、宅配をきっかけに家庭内の困りごとに気づき、他の支援につなげるきっかけ作りにもなるでしょう。

子どもの貧困対策の際に支援者が知っておくこと

ここで紹介してきたように、すでに様々な支援の取り組みが行われていますが、まず、子どもの貧困問題の現状がどのようなものか、多くの支援者に知ってもらうことが必要です。

子どもたちの貧困は、私たちが考えている以上にとても深刻な問題です。また、「貧困」を自覚していなかったり、声をあげられなかったりと、気が付きにくいデリケートな一面もあわせもっています。

教育や炊き出しのボランティア、寄付、就労体験などのサポートを通し、貧困で苦しむ子どもたちを1人でも多く支援することが可能になるでしょう。

子どもの貧困対策について知ろう

子どもの貧困対策について知ろう 子どもの貧困対策について知ろう

子育てや貧困の問題は家庭のみの責任ではありません。

2014年「子供の貧困対策の推進に関する法律」が成立し、「教育の支援」「保護者の就労の支援」「生活の支援」「経済的な支援」の4つの柱を中心に、様々な子どもの貧困対策を進めています。

SDGsの目標「10. 人や国の不平等をなくそう」でも掲げられているよう、貧困の連鎖を断ち切るためにも、私たち皆がこの問題に関心をもち、支援に取り組むことが重要です。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

[参照元]

『子供の貧困とは』(子どもの未来応援国民運動)

https://kodomohinkon.go.jp/hinkon/

『子どもの貧困対策』(日本財団)

https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/ending_child_poverty

『子供の貧困対策』(子どもの未来応援国民運動)

https://kodomohinkon.go.jp/hinkon/measure/

子供の貧困対策の推進(文部科学省)

https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/kodomo-hinkontaisaku/index.htm

『子どもたちと明日をつくる』(公益財団法人あすのば)

https://www.usnova.org/?gclid=CjwKCAiAyc2BBhAaEiwA44-wW2wu4yYnv_YrL2R5rysH_zkOGzzWQ4dM8q648vlfZIrthXMtykjLMhoCfa0QAvD_BwE

『貧困家庭のこどものためにどのような支援活動がおこなわれている?』(gooddo)

https://gooddo.jp/magazine/poverty/children_proverty/75/

『子供の貧困対策の推進に係る取組』(文部科学省)

https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/kodomo-hinkontaisaku/1369104.htm

『SDGs17の目標 10.人や国の不平等をなくそう』(国益財団法人 日本ユニセフ境界)

https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/10-inequalities/