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格差社会に陥る5つの原因とは?
格差社会への
対策もあわせて紹介

格差社会は単なる貧富の差だけでなく、様々な社会問題を背景に生じています。本記事では格差社会が生まれる原因とどのような対策があるかを解説しています。また、世界の格差社会についても触れています。この記事を読んで格差社会について学んでみましょう。

格差社会とは?

格差社会とは? 格差社会とは?

格差社会とは、成員が、特定の基準から見て隔絶された階層に分断された社会のことです。特に、所得・資産面での富裕層と貧困層の両極化と、世代を超えた階層の固定化が進んだ社会のことを指します。

簡単に言うと、経済面において富裕層はとても裕福であるのに対し、貧困層の所得はとても低くその差が非常に大きい社会のことです。

どのような社会でも全員が全く同じ所得・資産にすることは不可能であり、ある程度の差が生じるのは当然です。しかし、その差があまりにも大きいこと、そしてその差を生む原因が社会全体の課題や問題につながるため「格差社会」とあえて呼ばれています。

格差社会に
陥る原因5つ

格差社会はいろんな社会的背景から生まれている場合が多いため、しばしば社会問題として取り上げられます。ここからは格差社会に陥る原因となる5つの社会問題についてご説明していきます。

■1:産業構造の変化

近年の急激なデジタル化による産業構造の変化は社会の経済格差を大きくしたと言われています。

これまで主流だったのは肉体労働でしたが、デジタル化によってITの専門的な知識を持った人材が重宝されるようになりました。その便利さからデジタル産業の規模はどんどん大きくなり、IT人材の需要も、その賃金も高くなります。

相対的に肉体労働を主としていた産業は規模の縮小や賃金の低下を余儀なくされ、格差が生まれてしまうのです。

■2:賃金や処遇の決定方法

高度経済成長期を境に賃金や処遇の決定方法が変化していったことも格差を生む原因になっています。

高度経済成長期以前の日本では、労働組合が経営者に賃金や処遇について交渉する春闘によって、労働者の賃金は業界ごとにほぼ同額を維持していました。そのため、労働者間で所得格差が発生しづらくなっていました。

しかし、高度経済成長期以降、実力主義、能力主義の傾向が強くなり、個々の成果や能力に応じて賃金や処遇が決められるようになったため、同じ労働者の間でも所得格差が生まれるようになったのです。

■3:少子高齢化

日本の出生率低下による少子高齢化も格差を生む原因です。若い世代が少なくなる一方で、年金を貰う世代は増えているため、年金の財源確保は難しくなっており、年金に頼って生活をする高齢者は貧困に陥りやすいのです。

反面、会社役員などのポストに就いて高収入を得る高齢者もおり、収入格差が生まれてしまいます。日本の高齢化は今後も進んでいくとされており、さらなる世代間格差の広がりが予想されています。

■4:非正規雇用が増加傾向にある

日本では2004年から労働者派遣法が施行され、企業側への規制が緩和されたことで派遣社員、つまり非正規での雇用が増加しました。派遣という形で自由な働き方ができるようになった一方で、非正規社員は収入が正社員に比べて低く、さらに雇用が不安定であるというデメリットがあるのも確かです。

正社員になれない人が増えることで格差社会が広がっているのです。

出典:改正労働者派遣法の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kaisei/dl/haken.pdf

■5:ひとり親世帯が増加傾向にある

離婚や死別など様々な理由からひとり親世帯が増加傾向にあり、親がひとりで仕事と家事・子育てを両立しなければならず、正社員として採用されにくいという背景があります。

そうすると、法改正によって緩和された非正規雇用や低賃金労働を選ばざるをえず、結果として低所得、不安定な雇用により貧困に陥ってしまいます。

所得格差は子供の教育・学力格差にもつながり、お金がないことによって十分な教育を受けられず、その後の進学・就職などにも影響を及ぼし、子供世代にも貧困が連鎖してしまいます。これにより、さらに格差社会が広がってしまうのです。

出典:ひとり親家庭への支援策|参議院
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2010pdf/20100401040.pdf

格差社会への
対策4つ

格差社会は単純な所得の差から社会全体の問題に発展するため、対策が必要な課題です。放置していると格差は広がるばかりか、その差が固定化してしまうことも懸念されます。

個人の努力では改善が難しい規模の問題であるため、国レベルで様々な対策が行われています。ここからは具体的な対策についてご紹介していきます。

■1:働き方改革の推進

日本では、厚生労働省が働き方改革を推進しています。現在の日本では、少子高齢化によって労働可能な人口が減っていることや、育児や介護など様々な事情に合わせた働き方が求められています。

働き方改革は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

出典:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

■2:同一賃金同一労働の取り組み

働き方改革の取り組みの一環で、同一賃金同一労働も重視されています。以前は、正社員と非正規社員で同じ仕事をしているにも関わらず、正社員の待遇が良いということも多くあったため、格差が生まれていました。

厚生労働省は「同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止」としており、同じ仕事をしている人には、賃金を始めとした待遇を平等にしましょうとはたらきかけています。

出典:見直しの目的|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000474490.pdf

■3:ベーシックインカム

海外の一部の国や地域でベーシックインカム制度が試みられています。

ベーシックインカムとは国などが無条件で生活に必要な最低限の金額を支給する制度のことです。働いているにも関わらず貧困から抜け出せずにいる層に対しての所得格差を改善する制度として日本でも注目されています。

ですが、財源の確保が困難であることや労働意欲の低下などが課題とされており、日本では導入されていませんし、海外でもまだ実験的に導入されている程度にとどまっています。

■4:教育格差への対策

貧困による教育格差は、子供世代にも貧困を連鎖してしまうどころか、日本社会全体の成長にも影響を及ぼしかねない問題です。教育格差への対策は経済支援、就労支援、生活支援の3つに分かれています。それぞれご紹介していきます。

経済支援について

経済支援においては、主に「児童扶養手当」が挙げられます。ひとり親世帯や、父母に変わって子供を扶養している人に対して支給されるものです。生活が苦しくなってしまうことの多いひとり親世帯の生活を支える制度です。

ほかにも、子供の修学資金や就職準備金を年利1.0%で貸し付ける「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」もあり、ひとり親世帯の経済的な自立や生活を支援する制度として利用されています。

出典:母子父子寡婦福祉資金貸付金制度|内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/23.html

就労支援について

就労支援は、ひとり親が技術やスキルを身につける機会を提供し、さらに就労も促進する、総合的な支援です。

具体的にはハローワークで行われる職業訓練などを指します。職業訓練は、就業に必要なスキルを学べたり資格を取得したりすることができるもので、民間のものに比べて経済的な負担が軽いことが特徴です。

生活支援について

生活支援は、大人も子供も対象として、住居や物的支援、精神的支援を様々方法でおこなっています。

具体的には、地域の相談員と相談して自立計画を立てる「自立相談支援事業」、家計改善や相談者自身での家計管理を促し早期生活再生を目的とした「家計相談支援制度」、就職活動することを条件に住居を失った人に対して家賃相当額を支給する住居確保給付金の支給」などです。

また、精神的な理由などからすぐに就労するのが難しい人に対して長期プログラムに沿って就労支援を行う「就労準備支援事業」、住むところがなかったりネットカフェを点々としたりしている人に対して一時的に宿泊場所や食糧・衣服を支援する「一時生活支援事業」などがあります。

世界の格差社会
について

世界的に所得格差が大きいのは、アフリカや中南米と言われており、一方で格差が少ないのは社会福祉が充実している北欧の国々です。格差の大きい地域では、識字率の低さや栄養失調により満足に働けないことから格差が大きくなってしまいます。

また、中国やインドなども所得格差が大きい国であり、中国では農村部と都市部との所得格差が大きく、インドではIT人材が高所得の仕事に就きやすいが、国全体に十分な教育が行き届いていないことから格差が広がっています。

格差社会について
理解しよう

格差社会について理解しよう 格差社会について理解しよう

格差社会は、単なる貧富の差だけではなく、いろんな社会問題と繋がっている問題です。

全員が全く同一の経済状況になるのは難しく、多少なりとも差は生まれるものですが、その差が大きくなりすぎないように対策していく必要があります。SDGsの17の目標にも掲げられる貧困やジェンダーの格差について理解し、私たち一人ひとりが社会全体の問題としてできることを考えていきましょう。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

[参照元]

『「働き方改革」の実現に向けて』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

『雇用形態に関わらない公正な待遇の確保』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000474490.pdf

『SDGs SDGs17の目標』(公益財団法人日本ユニセフ協会)

https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/