2 飢餓をゼロに 12 つくる責任つかう責任 14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう
14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう

フードロスを
なくすには、
どうしたらいい?
【SDGs】でも
取り上げられる
食に
関する問題を考えよう!

世界では、途上国を中心に貧困と飢餓に苦しむ人が大勢いる一方で、まだ食べられる食品が大量に捨てられてしまう「フードロス」があることが課題になっています。なぜフードロスは起こってしまうのでしょうか?どうしたらフードロスをなくすことができるでしょう。そして、どうしたら飢餓に苦しむ人をなくすことができるでしょうか?

世界中の人々が将来にわたって豊かに暮らすことができる「持続可能な社会」の実現を目指す、世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)でも取り上げられる、フードロスの問題を知ることから始めて、世界の食の問題について考えを深めてみましょう。

「フードロス」って、
どういうこと?

「フードロス」って、どういうこと? 「フードロス」って、どういうこと?

■学校の給食でも発生している「フードロス」

「フードロス」とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことを言います。実は学校の給食でも「フードロス」は発生しています。

カレーライス、きな粉揚げパン、フルーツポンチ……あなたの学校で人気のあるメニューは、どんなメニューですか?給食を食べ終わって片づけるとき、食べ残しの量に注目してみてください。カレーライスなどの人気メニューのときは食べ残しが少なく、苦手な子が多いメニューのときは食べ残しがたくさんあることに気づくはずです。

日本では、1年間の給食の中で、児童・生徒の食べ残しが1人あたり7.1kgになるという調査結果もあります。これは、リンゴ1個を300gとして、1年にリンゴ約24個分の食べ物をごみとして捨てている計算になります。

給食を調理するときに出た野菜の皮などの調理残渣(ざんさ)も含めると、全国の給食で使われる食品から出る食品ごみは、日本のフードロスの発生量を増やしている要因の一つとも言われています。

■SDGsでも取り上げられる世界的な課題

「フードロス」は、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)でも、世界中が解決すべき課題の一つとして取り上げられています。

SDGsの17の目標のうち、世界の食の問題を取り上げているのは、「目標2.飢餓をゼロに」と「目標12.つくる責任つかう責任」です。

飢餓とは、十分な食べ物が得られなかったために栄養不足になり、健康な状態を保てなくなる状態のことです。世界には飢餓に苦しむ人が8億人以上いると言われています。世界の人口のうち9人に1人は、食べ物が足りずに苦しんでいるのです。

一方で世界では、まだ食べられるのに捨てられるフードロスが問題になっています。たとえば、日本ではフードロスの量は、年間643万トンにもなると推計されています。この量は、10トンの大型トラックで考えると、なんと1700台分もの食品を毎日捨てていることになります。

フードロスの問題は、「目標12.つくる責任つかう責任」において、「12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」とターゲットも明確に示されています。

世界中の人々が将来にわたって暮らし続けていくことができる、持続可能な社会の実現のためには、フードロスを減らすことが世界共通の課題の一つとされているのです。

■コロナショックでも浮き彫りになった、飢餓とフードロスの問題

2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の大流行により、世界の経済が停滞し、国と国の間の移動が制限される状況が続いています。これにより、もともと貧困と飢餓に苦しんでいる人が多かったアフリカなどでは、さらに食料不足に陥る危険性が指摘されています。その理由の一つには、食料不足が深刻な地域では医療も不足している場合が多く、新型コロナウイルス感染症が蔓延(まんえん)すれば、食料品の生産者自体が減ってしまうことが挙げられます。また、経済が停滞することは食料の安定供給を妨げてしまいます。特に食料品を自国で十分に生産できず輸入や支援に頼っている国でのダメージは深刻です。

一方で、世界では先進国の都市部を中心に行われたロックダウン(都市封鎖)により、飲食店や学校給食に卸すはずだった食品が捨てられてしまうフードロスの問題が目立っています。日本では、スーパーなど食料や日用品を扱う小売店は営業を続けましたが、いくつかの百貨店は緊急事態宣言を受けて休業することになりました。そのため、百貨店に卸すはずだった食料品が行き場を失い、大量のフードロスが発生してしまったのです。

この問題に対して、飲食店や百貨店で売られるはずだった食料品を買い取って、インターネットで販売しようとする取り組みが話題になりました。このような取り組みは、「フードシェアリング」「フードバンク」などと呼ばれ、活発に行われています。また、学校給食で使われるはずだった野菜や牛乳が余っていることから、こうした食料品を家庭でなるべく多く消費しようという動きも見られました。

コロナショックは、飢餓やフードロスの問題について、世界中の人があらためて考えるきっかけになったとも言えそうです。

世界では
「フードロス」と
「飢餓」が
同時に起こっている

世界では、8億人以上もの人が食べるものが足りずに、慢性的な栄養不良に苦しんでいます。一方で、世界の食料廃棄量は年間約13億トンにもなり、食べるために生産された食品のおおよそ3分の1を捨てているとされています。

※この場合、食料廃棄量とは、食べられるのに捨てられている食品と、加工で出た残渣や流通の段階で腐ったりして捨てられているものを含みます。

飢餓のない世界を目指す活動を続けている国連の人道支援機関である、国連世界食糧計画(WFP=World Food Programme)では、飢えに苦しむ国や地域に食料援助を続けています。この機関が2018年に世界各地で行った食料援助の量は、約390万トン。日本のフードロスだけでも、世界で食料援助をしている量のおよそ1.6倍にもなります。

援助に必要な食料品の量より、まだ食べられるのに捨てられている食品のほうが多いなんて、おかしいですよね。

■飢餓に苦しむ人々を救うために食料の安定供給を

では、どうして、飢餓が起こるのでしょうか?さまざまな原因がありますが、津波や洪水、干ばつなどの自然災害が悪影響を及ぼしていることが、一つの理由です。災害が多い地域では、農作物が被害を受け、畑そのものが作物を育てられない状態になってしまい、食料を安定して手に入れたり供給したりするのが、難しくなってしまいます。さらに、途上国では、農業の技術が乏しかったり、流通のためのシステムが未熟であったりすることが、食料不足を招いています。

飢餓に苦しむ人々をなくすためには、食料を安定して供給できるように、途上国の農家が継続して自分たちで十分な量の作物を収穫できるようにすること、また安定して食品を運搬できる電力や交通網などのインフラを整えることなどが必要です。経済的に弱い途上国では自力で産業を発展させるのには力が足りないため、先進国の政府や企業が、農業の技術を教えたり、インフラを整えるための経済的な支援をしたりと、国際協力が進められています。

■フードロスはどうして起こるの?

次に、どうしてフードロスが発生してしまうのかを考えてみましょう。まだ食べられるのに捨てられてしまう食品廃棄やフードロスの内容は、事業系と家庭系の2つに大きく分けられます。

事業系——生産地から小売店の店頭に並ぶまで

事業系では、生産地で収穫されてから小売店に並ぶまでの、さまざまな過程で捨てられてしまう食品が出ています。

[途上国での食品廃棄・フードロスの主な原因]

  • 技術が未発達で収穫のときに取り残しがある
  • 加工の際に無駄が多い
  • 一年中暑い地域なのに保存や流通のための冷蔵設備などが足りない
  • 飲食店などでの食べ残しは、ほとんどないとも言われている

[先進国での食品廃棄・フードロスの主な原因]

  • 産地で過剰生産になることがある
  • 加工・包装の段階で見た目の悪いものが簡単に捨てられてしまう
  • 小売店で大量に陳列したり、品数を豊富に見せたりするため、需要以上に仕入れて余ってしまう
  • 消費者が食品を簡単に捨てる経済的な余裕がある
  • 見た目の基準が高いため、少しでも見た目の悪いものが売れ残ってしまいがち

家庭系

家庭で出る食品廃棄やフードロスの内容は、食べ残しや、調理の際に皮をむきすぎてしまうことが挙げられます。また、期限切れになったり、腐らせてしまったりして、そのまま捨てられてしまう食品も多いようです。

フードロスをなくすことは飢餓をなくすこととイコールではありませんが、世界にある食の問題として、飢餓とフードロスが同時にあるこの状況は改善していかなければなりません。食品の廃棄やフードロスを減らすためには、食品の生産者から、流通・小売に関わる人や企業、私たち消費者一人ひとりまで、無駄をなくす工夫を続ける努力が大切だと言えるでしょう。

フードロスを
なくすために
家庭でできること

フードロスをなくすために家庭でできること フードロスをなくすために家庭でできること

「世界の食料問題」と言われると難しい気がしますが、私たち一人ひとりが少し気をつけるだけでもフードロス削減の第一歩になります。買い物のときに「買いすぎない」、買ったものは「使いきる」「食べきる」という3つのポイントで、家庭でもできることをご紹介します。

■買いすぎない

家にまだあるのに同じものを買ってしまった、という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。買い物に出かける前には、家にある食材を確認することを習慣にしましょう。出かける前に冷蔵庫をのぞくという習慣をつけるだけでも、ずいぶん違うはずです。

また、お買い得だったのでたくさん買ったけれど、食べきれなかったということもあります。家族の人数や好みを考えて、本当に食べきれるかどうか、よく考えて買うようにしましょう。

■買ったものは賢く保存し、使い切る

間違った方法で保存すると、食品が早く傷んでしまうことがあります。表示のあるものはよく読んで、正しく保存しましょう。また、野菜をよく使う形に切り分けて冷凍したり、小分けにしたりして、長く保存できるように工夫をしてみるのもおすすめです。

ほかに、たとえば、ブロッコリーの茎のように今まで捨てていた部分でも、食べられる方法がないか調べてみるのもよい方法です。野菜や果物の皮もできるだけ薄くむくと、捨てる食品を減らすことができます。

■食べきる工夫をする

もし、いつも作りすぎてしまう料理があるなら、家族の食べきれる量や好みをよく確認して、作りすぎないように気をつけましょう。

冷蔵庫の奥から期限の切れた食品が出てきた、という失敗をなくすために、食材の期限を確認するくせをつけて、古いものから使う習慣をつけることも有効です。食品に表示されている期限には、「消費期限」と「賞味期限」があります。

  • 消費期限…年月日で表示されていて、「安全に食べられる」期限を示しています。お弁当やサンドイッチなど傷みやすい食品に表示されています。
  • 賞味期限…カップ麵やペットボトル飲料など、比較的傷みにくい食品に表示されていて、年月日のほか、〇年〇月と表示されることもあります。「品質が変わらずおいしく食べられる」期限を示しています。この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。

注意したいのは、消費期限も賞味期限も、容器や袋を開けずに表示されている保存方法を守った場合の期限であることです。開封した食品は期限に関わらず、早めに食べきるようにしましょう。

■家庭で余った食品を必要な人に届ける「フードドライブ」

家庭で余った未開封の食品を集めて必要な人に届ける「フードドライブ」という活動が、日本でも積極的に行われるようになっています。この活動では、自治体やJA(農業協同組合)、スーパーなどを窓口として集まった食品が、支援団体などによって、食べ物に困っている人や福祉施設に届けられています。

フードドライブの対象となるのは、缶詰やレトルト食品、乾物、乾麺、お菓子、お茶、調味料など、常温で保存できる傷みにくい食品が中心です。お歳暮などでもらったり、買いすぎたりして開封せずに余っているものがあれば、フードドライブの窓口を探してみるのも、フードロスを解消するための一つの方法になるでしょう。

フードロスを解消するためのユニークな取り組みに、残り物を使っておいしい料理を作り、その味やアイデア、さらに出た食品ごみの量の少なさを競うイベントがあります。フードロスの削減のためと難しく考えると長く続けるのが難しいかもしれません。まずは、このイベントのように、おいしく、楽しく取り組んでみてはいかがでしょうか。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

[参照元]

Vol.132(3) トピックス 「学校給食から発生する食品ロス」 | 公益財団法人ダノン健康栄養財団

https://www.danone-institute.or.jp/mailmagazines/backyear/1124.html

新型コロナウイルス~世界の食料安全保障に対する5つの脅威 - 国連WFP

https://ja.news.wfp.org/20-14-40f0b9440a76

世界の食料ロス | 中学生・高校生・市民のための環境リサイクル学習ホームページ

http://www.cjc.or.jp/school/d/d-2-6.html

もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.html