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ジェンダーギャップ指数とはなに?低いと起こる問題点と改善する方法も紹介

SDGsに掲げられている目標の中に、「ジェンダー平等を実現しよう」というものがあります。ジェンダー平等とはなにか、日本はジェンダー平等国なのか、また不平等な場合に起こる問題とはなにかなどの疑問を「ジェンダーギャップ指数」をもとに紹介します。

ジェンダーギャップ指数とはなにか3つ

ジェンダーギャップ指数とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が発表しているもので、各国における男女格差を測る指数の一つとなっています。

これからジェンダーギャップ指数について説明していきます。

■1:日本の順位とは

2021年3月に発表された「The Global Gender Gap Report 2021」によれば、日本のジェンダーギャップ指数ランキングは、156か国中120位でした。

前回の順位は153か国中121位だったため、ほぼ横ばいに推移しました。残念ながら、この一年で大きな改善は見られなかった結果となります。

参照:『「共同参画」2021年5月号』(内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/202105_05.html

■2:構成されている要素

ジェンダーギャップ指数は、「経済」「政治」「教育」「健康」といった4分野14項目の要素から構成されています。評価の計算方法は、0が完全不平等・1が完全平等とし、4分野の要素を総合します。各分野の項目は以下の通りです。

「経済」(経済活動への参画機会)の分野
・労働参加の男女平等
・同種業務の給与における男女平等
・所得の男女平等
・管理職における男女平等
・専門職・技術職における男女平等

「政治」(政治への参画)の分野
・国会議員の女性割合
・閣僚の女性割合
・女性国家元首の在位期間

「教育」(学歴)の分野
・識字率
・初等教育
・中等教育(中学校・高校)
・高等教育(大学・大学院)

「健康」(健康と生存率)の分野
・出生児の男女割合
・健康寿命

■3:海外と比較した場合

他の国と比較して156か国中120位という結果からもわかる通り、残念ながら、日本の男女格差は大きいといえるでしょう。

日本のジェンダーギャップ指数は、先進国の中では最低レベルといえます。G7では最下位、アジア諸国に目を向けても韓国や中国・ASEAN諸国と比べ、日本が下位の結果となりました。

参照:『「共同参画」2021年5月号』(内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/202105_05.html

ジェンダーギャップ指数が低いと起こる問題点3つ

ジェンダーギャップ指数の低さは、男女格差・差別の大きさと捉えられます。ジェンダーギャップ指数が低いと、どういった問題につながるのでしょうか。ここからは、ジェンダーギャップ指数が低いと起こる問題点3つを紹介していきます。

■1:女性が受ける被害が増える

暴力や虐待は、日本でも比較的耳にする問題でしょう。一言で暴力や虐待と言っても、それらは肉体的・精神的・性的・経済的と多岐にわたります。

発展途上国になれば、女性の被害はさらに深刻です。

参照:『パートナーや恋人からの暴力に悩んでいませんか。一人で悩まずお近くの相談窓口に相談を。』(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201411/1.html

■2:雇用に対する格差が広がる

男性と比べ、女性の働き方はライフイベントに左右されがちです。ジェンダーギャップ指数が低いと雇用に対する格差が広がるといわれています。

日本では、結婚・出産・育児に関して男性も協力的な社会になってきたとはいえ、女性の負担は大きいでしょう。それゆえ、女性の採用に消極的な企業も残っているのが実情です。

雇用された後も、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントがあります。こちらは企業側が防止措置を講じなければならない事案です。

また、結婚から出産を機に退職した場合、いざ再就職しようとしても非正規雇用となるパターンも多くあります。出産・育児とキャリア両立の難しさから、正社員としての復帰をそもそも諦めてしまう人もいるようです。

■3:賃金の格差が広がる

前述した通り、出産を機に正社員を手放すと、新たに正社員として職を手にするのは現状なかなか難しい環境といえます。

男女別の正規・非正規の雇用割合を見てみると、就業している男性のうち正規雇用は8割以上なのに対し、就業している女性のうち正規雇用は5割未満という結果もあります。

また、日本社会で女性の潜在能力は過小評価されがちです。女性は事務作業や窓口業務などの裏方の業務に就くことも多く、そうなれば賃金もそれ相応のものとなってしまいます。

参照:『働く女性の現状と課題(経済のプリズム No181 2019.11)』P.3(参議院)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h31pdf/201918102.pdf

ジェンダーギャップ指数を改善する方法3つ

日本のジェンダーギャップ指数のスコアを分野別に見てみると、「経済」0.604、「政治」0.061、「教育」0.983、「健康」0.973となっています。

教育分野と健康分野は高スコアなのに対し、経済分野と政治分野で低スコアなのがわかります。日本のジェンダーギャップ指数が低い原因に、政治や経済分野での男女格差があげられます。

ここからは、ジェンダーギャップ指数を改善する方法3つ紹介していきます。

参照:『「共同参画」2021年5月号』(内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/202105_05.html

■1:同一労働同一賃金を採用する

同一労働同一賃金とは、正規雇用と非正規雇用の間で存在する待遇差をなくし、多様で柔軟な働き方を選択できるようにするための取り組みです。

業務内容やその責任が正規雇用と非正規雇用で同一の場合、それぞれの待遇に違いがあってはなりません。非正規雇用であってもその業務内容に応じた賃金を正しく受け取ることで、賃金格差の解消につなげるのです。

たとえば、「紳士服売り場責任者(正社員)」と「婦人服売り場責任者(契約社員)」を考えてみましょう。

職務内容(業務内容・責任の程度)や配置の変更範囲(転勤実績)などが実質同じだった場合、正社員と契約社員間での待遇が著しく異なっていたならば、企業側はこれを見直す必要があります。

■2:ワークライフバランスを推進する

内閣府で定義されているワークライフバランスが実現した社会の姿の一つに「多様な働き方・生き方が選択できる社会」があります。これは、性差や年齢ではなく意欲や能力によって様々な生き方が選択でき、子育てや介護の期間は柔軟な働き方と公正な処遇が確保されている社会です。

この社会は、企業と個人の相互努力なくして実現はできないでしょう。

企業側には、個人の状況に応じた働き方制度(育児・介護休業、短時間正社員制度など)の整備と利用しやすい雰囲気づくりや、男性の育児休業等の取得促進、女性や高齢者等の再就職・継続就業機会を提供することなどが求められています。

また個人にも、人々の多様性を理解・尊重すること、家庭や地域での役割を認識しそれを果たすことなどが求められます。

■3:女性のキャリアアップを支援する

前述した「ジェンダーギャップ指数が低いと起こる問題点」の中で、雇用に対する格差を挙げました。

残念ながら、結婚や出産は女性のキャリアアップを阻む要因の一つでもあり、これを乗り越えるためには家族だけでは足りず、地域・企業・国など多くの協力を必要とします。

日本では、「女性活躍推進法」を改正するなどして、女性が働きやすいだけでなく管理職としても活躍できる環境づくりをすすめています。

自己実現のための各種研修やセミナーで自己啓発やスキルアップを、試験や会社側へのキャリアビジョンアピールなどで管理職へチャレンジしやすい制度も設けているところもあります。これらの制度は、女性のキャリアアップ支援といえるでしょう。

ジェンダーギャップ指数の向上のために私たちにできること

日本のジェンダーギャップ指数が低い大きな要因として、女性が「ライフワークバランス」を実現できていない点があげられます。

普段の生活を振り返ったとき、たとえば家事は女性に任せきり、子どものことで休みを取るのは女性ばかり、のようになっていませんか。

また、職場でも、当たり前のように雑務を押し付けていないか、強い口調になっていないか、など気付きがあれば改善していきましょう。小さな気付きの積み重ねが、女性の働きやすさにつながります。

女性の社会活動を活発化させジェンダーギャップ指数を上げるには、雇用先である企業や地域・国といった周りの協力が不可欠です。

ジェンダー平等のために政府の取り組み

政府の取り組みとして、「ポジティブ・アクション」、「女性リーダー人材バンクの運営」、「女性リーダー育成事業」、「女性に対する暴力の根絶」、「女性活躍推進法」などがあります。

また、保育園を増やす「待機児童対策」も女性の社会進出、ジェンダー平等につながる取り組みといえるでしょう。

「女性活躍推進法」では、女性の管理職比率やキャリアコースなどの評価によって、厚生労働大臣が定める「えるぼし」の認定を受けられるなど、女性の管理職・指導役などの着任率向上に貢献しています。

女性活躍推進法は2019年にも改正され、一部は2020年に施行されるなど、随時見直しもされている活発な取り組みです。

ジェンダー不平等指数について2つ

ジェンダーギャップ指数では、日本は下位国といわれています。世界的に見たときに男女格差が大きいとされる日本では、多くの女性が不幸や不平等を日々感じているのでしょうか。それについては、ジェンダー不平等指数を見ればわかります。

ここからは、ジェンダー不平等指数について紹介していきます。まずは、男女共同参画に関する国際的な指数である「GII:ジェンダー不平等指数」のランキング結果を見ていきましょう。

■1:指標の違いで結果が異なる

GII:ジェンダー不平等指数では、日本は162か国中24位と上位に位置しました。

これは、GGI:ジェンダーギャップ指数では156か国中120位と世界的に見て下位だったにもかかわらず、大きく差のある結果です。

同じ男女共同参画に関するランキングではありますが、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数と、国連開発計画のジェンダー不平等指数では指標に違いがあるのです。

参照:『男女共同参画に関する国際的な指数』(内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html

■2:ジェンダー不平等指数とジェンダーギャップ指数の違い

国連開発計画の発表するジェンダー不平等指数とは、「リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)」、「エンパワーメント」、「労働市場への参加」の3分野において男女の不平等を表す指数です。

平等であるほど0に近く、不平等であるほど1に近いスコアとなるのは、ジェンダーギャップ指数と変わりません。

国連開発計画とは、途上国の貧困根絶や社会開発を促進する機関です。そのため、その項目には途上国の女性問題である「妊産婦死亡率」や「未成年出生率」などが含まれています。

一方、ジェンダーギャップ指数を発表している世界経済フォーラムは、政治・経済・学術分野の指導者層交流促進を目的とした団体です。その指数は政治経済面を重視するため、大臣や管理職の男女比率などの項目が含まれています。

それぞれが異なる項目を元に指数を出すため、異なった結果が返されるのです。

参照:『男女共同参画に関する国際的な指数』(内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html

ジェンダーギャップ指数について理解を深めよう

ジェンダーギャップ指数について理解を深めよう ジェンダーギャップ指数について理解を深めよう

ジェンダーギャップ指数とは、「政治経済面から焦点を当てたジェンダー格差」を数値で表したものです。

実際の性差による不平等は様々な視点から慎重に判断する必要がありますが、このジェンダーギャップ指数は実際の社会活動面での格差を知る一つの指標となるでしょう。

また北欧やヨーロッパ、たとえばアイスランド・フィンランド・ノルウェーなどジェンダーギャップ指数が高い国の政策を学ぶことで、自身の生活や考え方に活かせることができます。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

[参照元]

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『「共同参画」2021年5月号』(内閣府男女共同参画局)

https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/202105_05.html

『パートナーや恋人からの暴力に悩んでいませんか。一人で悩まずお近くの相談窓口に相談を。』(政府広報オンライン)

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201411/1.html

『働く女性の現状と課題(経済のプリズム No181 2019.11)』(参議院)

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h31pdf/201918102.pdf

『同一労働同一賃金ガイドライン』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html

『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章』(内閣府)

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html

『仕事と生活の調和推進のための行動指針』(内閣府)

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/indicator.html

『女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

『女性の活躍促進』(内閣府男女共同参画局)

https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/index.html

『男女共同参画に関する国際的な指数』(内閣府男女共同参画局)

https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html