クリーンエネルギーの種類や
今後の課題とは
国の取り組みも紹介
クリーンエネルギーが具体的にどのようなエネルギーを指すのか、わからないという人もいるのではないでしょうか。この記事では、クリーンエネルギーの種類や国の取り組み、今後の課題についてご紹介します。クリーンエネルギーについて知り、子どもに教えられるようにしましょう。
クリーンエネルギーとはどんなエネルギー源のこと?
クリーンエネルギーとは、エネルギーを生成する際に温室効果ガスを排出しない、あるいは排出量が少ないエネルギー源です。いわゆる再生可能なエネルギー源を利用して得られます。それは、繰り返し使い続けることができるため、化石燃料のような枯渇の心配はないでしょう。
太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電、海洋発電、バイオマス発電といった非化石エネルギー源がクリーンエネルギーの源となっています。
クリーンエネルギーの定義
クリーンエネルギーは太陽光発電をはじめとして自然のエネルギー源を活用するエネルギーであると紹介しましたが、明確に定義されているわけではありません。
石油などの化石エネルギー源や原子力エネルギーを使用することは、地球温暖化の促進や廃棄物処理により環境へ悪影響を与えてしまいます。
上記のような環境破壊を防ぐことのできるエネルギー源がクリーンエネルギーであるとされていることから、明確な定義が難しいのです。
クリーンエネルギーの種類5つ
ここからは、クリーンエネルギーに分類される5つのエネルギーについて、メリットとデメリットをご紹介します。
自然を活かした再生可能エネルギーには、国産のエネルギーであること、温室効果ガスを排出しないことといった特長がありますが、課題点やデメリットも存在します。それぞれのエネルギーのメリット、デメリットを知り、クリーンエネルギーへの理解を深めましょう。
■1:水力発電のメリットとデメリット
水力発電は、ダムや河川、農業用水などを利用して発電しています。日本は水の資源が多く存在していることから、今後も発展が見込める発電方法です。
発電所を作れれば長期間発電を続けられる点、電力の供給が安定する点がメリットとされています。
一方で、開発前に長期間の河川流況についての調査が必要であるなど、新たに開発する場合はコストが高くなりやすいといったデメリットがあります。
■2:風力発電のメリットとデメリット
風力発電は、陸上や洋上に風車を設置し、風の力で発電する発電方法です。日本でも風力発電の導入が進められており、風力発電所が増加しつつあります。
電力への変換効率が高いこと、風があればいつでも稼働できることがメリットであるとされています。
しかし、海外と比べると日本における風力発電のコストが高い点がデメリットであり、コストの低減が課題となっています。
■3:地熱発電のメリットとデメリット
地熱発電は、地中の熱エネルギーを使って発電します。日本では数十年前から地熱発電所を活用してきました。
発電する際に使用した蒸気などを暖房などに再利用できるという点、また昼夜関係なく発電ができる点がメリットです。
一方で、地熱を利用することから温泉施設や公園などと場所が被ってしまうため、関係者間での調整が必要である点がデメリットであるとされています。
■4:太陽光発電のメリットとデメリット
太陽光発電は、太陽の光のエネルギーを電気に変換することで発電します。日本でも太陽光による発電量は増加傾向にあり、世界的に見ても導入が進んでいる国であるといえます。
基本的にどこにでも設置できる点、災害が起きても電源として活用できる点、大きなスペースが不要である点がメリットです。
しかし、導入する際にかかるコストが高いこと、太陽光を利用するため発電量が気候に左右されやすい点がデメリットとなっており、今後の改善が期待されています。
■5:バイオマス発電のメリットとデメリット
バイオマス発電とは、動物や植物などから生まれた資源を利用して発電します。技術が進歩するにつれ、多様な生物資源が活用されるようになっています。
廃棄物となってしまう資源を活用できる点、生物資源の活用により農山漁村の活性化が図れる点がメリットです。
一方で、燃料となる生物資源を集める必要があるため、設備が小規模になりやすいというデメリットがあります。
クリーンエネルギーへの取り組み5つ
ここからは、クリーンエネルギーを普及させるための取り組みについて見ていきましょう。
エネルギー自給率や環境問題などの課題を解決するために、どのような手段をとっているのかを理解し、国が目標としているものは何かを知りましょう。
■1:エネルギー基本計画の実施
1つ目は、「エネルギー基本計画」と呼ばれる計画の実施です。
平成30年に決定された第5次エネルギー基本計画では、2050年までの対応を見据えた施策や取り組みの方向性を計画しました。
将来的に温室効果ガスの80%削減や脱炭素化を目指し、再生可能エネルギーをはじめとしたエネルギー源の転換へ挑戦しています。
出典:エネルギー基本計画について|経済産業省
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/
■2:固定価格買取(FIT)制度の制定
2つ目は、「固定価格買取(FIT)制度」という再生可能エネルギーの普及を助ける制度の制定です。
太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーによって生まれた余剰電力を、電力会社が買い取ることを義務としたことで、再生可能エネルギーは大きく普及率を上げることになりました。
課題は生まれたものの、再生可能エネルギーの普及という面では成果があったといえます。
出典:再生可能エネルギーの歴史と未来|経済産業省
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/saienerekishi.html
■3:パリ協定の採択
3つ目は、2016年に採択された「パリ協定」への参加です。
温室効果ガスの排出量削減などを目指しており、各国の削減目標の提出や更新を求めるほか、先進国による途上国への資金提供などについても定められています。
パリ協定の目標達成のため、SNSを通じて発信するなど、さまざまな取り組みが進められているところです。
出典:気候変動|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html
■4:カーボンリサイクルの開発推進
4つ目は、CO2の再利用を目的とした「カーボンリサイクル」の開発推進です。
カーボンリサイクルによってCO2を削減するだけでなく、再生可能エネルギーと合わせて活用することも期待されている技術です。
コンクリートや燃料のほか、プラスチックなど身近な製品についてもカーボンリサイクルの技術開発が進められています。
出典:CO2削減の夢の技術!進む「カーボンリサイクル」の開発・実装|経済産業省
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_recycling2021.html
■5:エネルギーミックスの比率の変更
5つ目は、「エネルギーミックス比率」を変更することです。
再生可能エネルギーや原子力、化石燃料などによるエネルギーの構成比率を変えることで、脱炭素化や安全性の確保を目指しています。
2030年には再生可能エネルギーを主力のエネルギーとするため、技術力の向上なども合わせて進めているところです。
出典:はじめに新しくなった「エネルギー基本計画」、2050年に向けたエネルギー政策とは?|経済産業省
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku.html
クリーンエネルギーの課題3つ
ここでは、クリーンエネルギーの普及にあたり課題とされていることを紹介していきます。
クリーンエネルギーの普及を拡大させるには、発電コストの高さや需要と供給のバランス調整、カーボンリサイクル製品の普及拡大などの課題があります。
それでは、それぞれの課題について見ていきましょう。
■1:発電コストの高さ
1つ目の課題は、日本における再生可能エネルギーの発電コストが他国と比べて高いという点です。
発電コストの削減自体には成功しているものの、国際的に見るとまだまだコストが高くなってしまっているのが現状です。今後、再生可能エネルギーの普及拡大を目指す上で、解決する必要がある課題のひとつだといえます。
■2:需給バランスの調整
2つ目の課題は、電力の需要と供給のバランス調整が必要である点です。
太陽光などの再生可能エネルギーは発電量を選ぶことができず、気候や環境によって発電量が左右されてしまいます。
また、電力に需要があまりない時期に、電力の発電量が消費量を上回ってしまうことが問題視されており、再生可能エネルギーを主力電源とする際の課題となっています。
■3:カーボンリサイクル製品の普及を拡大させること
3つ目の課題は、カーボンリサイクル製品の普及が進んでいないという点です。
現状では既存の製品よりコストがかかってしまうことから、市場で広く販売することが難しいと言われています。
商品の流通規模を広げるためには、商品の製作コスト低下や生産力の向上が必要であることから、さらなる研究が進められています。
クリーンエネルギーについて理解して子どもに教えましょう
クリーンエネルギーの種類やそれぞれのメリットとデメリット、国の取り組みや今後の課題について紹介しました。
日本においても数多くの取り組みが進められているものの、課題がまだまだ多く、長い期間をかけてクリーンエネルギーの普及へ取り組んでいるところです。
クリーンエネルギーの現状と将来の目標について理解し、子どもに教えられるようにしましょう。
[参照元]
※参照元サイトのURL変更や掲載期間終了により、ページが閲覧できない可能性があります。ご了承ください。
『再生可能エネルギーとは 総論』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html『水力発電』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/water/index.html『風力発電』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/wind/index.html『地熱発電』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/geothermal/index.html『太陽光発電』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/solar/index.html『バイオマス発電』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/biomass/index.html『エネルギー基本計画について』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/『新しくなった「エネルギー基本計画」、2050年に向けたエネルギー政策とは?』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku.html『再生可能エネルギーの歴史と未来』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/saienerekishi.html#topic02『電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 第一章 総則第二条』(e-GOV 法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=423AC0000000108『2020年以降の枠組み:パリ協定』(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html『CO2削減の夢の技術!進む「カーボンリサイクル」の開発・実装』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_recycling2021.html『2020—日本が抱えているエネルギー問題(後編)』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2020_2.html#topic03『再エネの主力電源化を実現するために』(経済産業省)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/shuryokudengen.html