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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
発達の気がかり
しつけや育て方によらないのが発達障害
発達にほかの子との違いや遅れを感じたとき、気になるのが発達障害です。発達障害は社会性や学習機能、運動機能などに発達の遅れや困難が見られる障害で、その特徴から細かく分類されますが、代表的なものは以下の3つです。
・自閉症スペクトラム(ASD):(以前は広汎性発達障害(PDD)と言われていました)
(主な特徴)
社会的意識が極端に低い(周囲の状況が読めない、場面の変化についていけない。他人の目を意識しない)。
コミュニケーションをとるのが苦手。
コミュニケーションの幅が狭い。
こだわりが強く、思い通りにならなかったりするとパニックになることがある。
・注意欠如多動症(ADHD)
(主な特徴)
不注意な行動が目立つ。
物事に集中できない。
他からの刺激に影響を受けやすい。
じっとしている時間が極端に少ない。
常に体を動かしている。
一方的によくしゃべる。
衝動的、突発的な行動が多い。
・学習障害(LD)
(主な特徴)
聞く、話す、読む、書く、計算するなどのうち、特定の学習、習得が困難。
発達障害の原因は脳の機能障害であり、多くは先天的なもので2・3歳ごろまでに上記のような特徴が表れてきますが、同じ診断名でも子どもによって特徴の表れ方はさまざまです。また、いくつかの発達障害を併せ持っていることも多いです。
“何となく”感じた気がかりに目を向けて
お子さまが発達障害と診断されたおうちのかたの多くは、それまでの子育ての中で「親子間のコミュニケーションの難しさ」や「ほかの子との違い」を、何となく感じていたとおっしゃいます。「何となく」というだけでは相談しづらいかもしれませんが、気になる状況が重なったり、子育ての不安が大きくおうちのかたが負担を強く感じているときなどは、一度相談されてみた方がいいと思います。
なかなか視線が合わない、「あれ見て」というような意思表示の指差しがない、などが発達障害の子どもに見られます。もちろん幼児期の発達には個人差も大きく、ほかの子や一般的な発達の目安と比べて過剰に心配することはありませんが、早期発見のためにこうした様子がないか気にかけてみることは大切でしょう。
早めの相談で、成長をじょうずにサポート
発達障害が疑われる特徴があったとしても、それが障害によるものなのか、発達の個人差の範囲なのかはある程度の年齢になるまではわかりません。そのため診断がつくのはたいてい3・4歳以降です。しかし、診断がつかなくても、子どもの状況に合わせた対応をしていくことは可能です。例えば子どもへの言い方を変えただけで理解できなかったことが理解できたり、難しい状況が改善することもあります。子どもの成長をできるだけじょうずにサポートし、おうちのかたの負担を軽減するためにも、気になる点があるときは早めに専門機関に相談することをおすすめします。
相談先として、いきなり専門機関を受診するのは抵抗があるかもしれません。そんなときは、まずは地域の保健センターや保健所などで保健師さんに相談をしてみるとよいでしょう。通常の健康診断では見逃されてしまうケースでも、じっくり子どもの様子を見ながら話をすることで、よりよい対応を検討することができます。まずは各保健センターや自治体に問い合わせてから訪ねるようにしましょう。
二瓶 健次 先生