二瓶 健次 先生

総合監修:二瓶 健次 先生

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予防接種と情報収集

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感染症は情報収集&ワクチンと衛生習慣でうまく付き合う

家族の衛生習慣とワクチンで感染症を予防

感染症を予防する。  感染症は一度かかるごとに、そのウイルスや菌に対する免疫ができ、次からはかかりにくくなります。小さな子どもは感染経験が少ないため、新たなウイルスや菌に出合う度に症状が出るのです。小さな子どものいる家庭では家族が感染源を持ち込むケースが多いので、家族の手洗い、うがい、マスクの着用などに気を配るようにしましょう。またワクチンのある感染症は、ワクチンによって感染を予防したり重症化のリスクから守ってあげることができます。勧奨接種のワクチンは規定の時期に、任意接種のものは副反応や効果をかかりつけの医師に相談するなどしてできるだけ受けるようにしましょう。

 とはいえ生活の中ですべてのウイルスや病原菌を避けることは困難ですし、あまりにも避けてしまうと免疫ができず、いつまでも感染の心配をし続けなければいけなくなります。感染症にかかってしまったときは「病気と闘いながら体を強くしているのだ」と考え、医師の指導に従ってケアをしてあげましょう。

乳幼児の感染症で怖いのは、下痢症と肺炎と脳炎・脳症・髄膜炎

乳幼児の感染症で怖いのは、脱水と脳炎・脳症・髄膜炎  感染症での受診の目安は、熱が38度以上ある、嘔吐(おうと)や下痢をしている、発疹(ほっしん)がある、呼吸が苦しそうなとき、意識がなくなったり、ひきつけがあるときなどです。中でも嘔吐や下痢が激しいと脱水の危険が高くなり、右図のような脱水症状があるときは夜間でも受診を。熱や軽い下痢だけであれば、こまめな水分補給をしながら翌朝まで待って受診でも大丈夫でしょう。また、呼吸のときに「ゼイゼイ」が強かったり、苦しそうにして、顔色が悪くなるような場合も呼吸器系の病気(肺炎)の可能性があり受診が必要です。

 脱水とともに乳幼児の感染症で怖いのが、脳にウイルスがまわってしまう脳炎・脳症です。インフルエンザ脳炎・脳症が有名ですが、そのほかのウイルスでも脳炎・脳症は起こります。2歳くらいまでの子どもがかかりやすく、予防することが困難で、症状が現れたら少しでも早く対処することが必要です。発熱、けいれんや意識障害を起こしたり、ボーッとしていて反応がない、寝てばかりいて起きないというときも緊急で受診してください。髄膜炎の場合も同じような症状です。
 また、これらの感染症で38度以上になると脳炎や脳症でなくても熱性けいれんを起こすお子さんが多いので、熱性けいれんの既往がある場合は、発熱時にひきつけ止めの坐薬などの処置が必要です。

インフルエンザなどの流行情報にも敏感になって

インフルエンザなどの流行情報にも敏感になって  毎冬話題になるインフルエンザも感染症のひとつですが、毎年、型を変える特殊なウイルスで、前年までにかかった経験があってもその免疫では防御できません。そのため子どもから大人まで年齢にかかわらず感染し、全国的に流行します。インフルエンザの予防接種は、幼児は2回接種が原則。流行してから接種しても間に合わないこともありますので、受ける場合は早めに。予防接種の予約は10月ごろから始まります。

 2009年にはブタインフルエンザに関連した新型インフルエンザが話題になりました。冬にはノロウイルスの流行も見られています。去年の春には、麻疹が成人にまで感染して大流行したのも記憶に新しいと思います。感染症が流行している時期は人ごみを避けたり、衛生習慣を徹底したり、早めにワクチンを接種することなどで感染の確率をぐっと減らすことができます。子どものいる家庭では、積極的に情報を収集することも大切ですね。

二瓶 健次 先生

プロフィール


二瓶健次

東北大学医学部卒業。東京大学小児科、自治医科大学小児科を経て、 1979年から2001年まで国立小児病院神経科医長、 2001年から2004年まで国立成育医療センター神経内科医長 、2006年から、東京西徳洲会病院小児センター神経・発達部勤務。 小児神経学、発達神経学が専門。