仁科 幸子 先生

総合監修:仁科 幸子 先生

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子どもとテレビ

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先生への相談

毎日テレビ、ビデオを平均3時間は見ています。最近、子どもの目が発達する前に、平面的なテレビばかり見ていると、ものを立体的にとらえる能力が成長せず、小さいうちから眼鏡が必要なほど視力が悪くなると聞きました。
子どもの目の機能が完全に発達するのは何歳ごろなのでしょうか? 3時間というのは危険性の高い時間でしょうか?
また現時点での視力を測る方法、意味はありますか?

先生からのアドバイス

イラスト - 仁科先生からのアドバイス

子どもの目の機能のすべてが完全に発達して、成人のレベルに達するのは8歳ごろですが、特に生後2カ月〜2歳が急速に発達する時期で、外界からの刺激に対する感受性の高い期間です。
目にはさまざまな機能がありますが、左右それぞれの目の視力のほか、遠くや近くにピントを合わせたり、目を動かしたり、両目でものを同時に見て、左右の像を融合したり、立体的にとらえる能力(両眼視機能)もあります。感受性の高い期間に適切な刺激が遮断されると、正常な発達が損なわれ、弱視になったり、両眼視ができなくなります。

現在2歳9ヵ月となるお子さんが、毎日熱心にテレビ、ビデオを見ているとご心配なさっておられますが、赤ちゃんのころから他の刺激を遮断した状況であったわけではありませんから、今からテレビを見すぎたために弱視になったり、ものを立体的にとらえる能力が成長しないということはないと思います。
しかし、テレビやビデオの見方は、お子さんの生活全般や全身の発達を考えるうえでも大切な問題だと思います。テレビを見る姿勢、距離はどうでしょうか? 目を細めたり、顔を曲げたり、疲れた様子などは見られませんか? 目や全身の健全な発達のためには、やはり長時間継続した視聴は避けて30分程度で区切り、規則正しい生活と屋内外でさまざまな体験を積むことが大切だと思います。

また「眼鏡が必要なほど視力が悪くなる」というご心配は、「近視が進むのではないか」という意味だと思いますが、テレビの見方に問題がある場合には、近視だけではなく、遠視や乱視による弱視や目の病気がないかどうか調べる必要があります。むしろ弱視を防止するために、早く発見して子どものころに眼鏡をかけさせなくてはいけない場合があります。
2歳9ヵ月でも小児用の視力検査や特殊検査で弱視かどうか判別することができます。
また近視、遠視、乱視などの屈折異常や目の病気がないかどうかは、乳幼児でも眼科で検査できますので、ご心配でしたら一度受診なさってみた方がよいと思います。

仁科 幸子 先生

プロフィール


仁科幸子

医学博士、国立成育医療研究センター 眼科診療部長。慶應義塾大学医学部卒。専門は小児眼科学、弱視斜視学。日本眼科学会専門医。