この研究が目指すこと

ベネッセ教育総合研究所では,自ら課題を見つけ,学び,考え,判断して行動し,よりよい社会や人生を切り拓いていく人を育むことを目指して,探究的な学びの基盤となる思考力を育成するための研究に取り組んでいます。本研究が実現したいことは以下の3点です。

  • 幼児期から高校段階まで一貫した思考力育成の指標を確立すること
  • 思考力の育成指導の具体的な方法と,その学習成果を測ることのできる高品質なアセスメントを提供すること
  • 自治体・園・学校と協働した実践研究を通して,子どもの資質・能力の育成の課題を解決すること

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共同研究者からのメッセージ

 情報技術の進展によって,私たちの生活は大きく変わりました。わからないことがあればその場で調べることができますし,生成AIを用いて文章や画像,音楽や動画を作ることもできます。そのような社会において大切になるのは,このような便利な“道具”を使って自分の人生を豊かにすることです。“道具”に従うのではなく,そこから得られた結果を基に自分で考える力,「思考力」が不可欠なのです。
 「思考力」の育成は,これまでも教育の重要な目標の1つであり,これからもますます重要になるでしょう。子どもたちは,単に「考えよう」と言っても,うまく考えられるようにはなりません。そのため,私たち研究グループは,考えるための方法を具体的に示した思考スキルに着目し,思考スキルが発揮された状況を具体的にイメージするためのCan-do Statements(能力記述文)を開発して,研究を進めてきました。この2つの視点から「思考力」を捉えることで,これまであいまいだった「思考力」が具体化され,育成・評価ができるようになるのではないかと考え,そのための教材のあり方や評価の方法を検討しています。今後,研究成果を思考力の育成に役立てられるように,より具体的な形を提案していきたいと思います。

泰山 裕(Taizan Yu)
中京大学 教養教育研究院 教授

1984年奈良県生まれ。
2014年関西大学情報科学研究科博士後期課程修了,博士(情報学)。
鳴門教育大学大学院准教授を経て,2024年より現職。
編著書に『「思考ツール×ICT」で実現する探究的な学び』東洋館出版社など。

*本研究の成果は,進研ゼミ中学講座の教材『思考力レッスン』でも活用されています。