2023年は教育「大改革」の始まりに!?

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2023年を迎えました。学校の制度や学ぶ内容を大幅に変える、大きな教育改革の始まりの年になるかもしれません。そのための「仕込み」は、既に行われています。いったい何が起こっているのでしょうか。

この記事のポイント

教室での学びを柔軟化へ

省庁再編から数えて11期目となる中央教育審議会は、2月に2年間の任期を終えます。これに向けて部会などが報告類をまとめ、第12期以降の論議につなげることにしています。注目点は、初等中等教育分科会の「学校教育特別部会」に設置された二つのワーキンググループ(WG、作業部会)が、それぞれ義務教育と高校教育に関して、論点整理を行うことです。
GIGAスクール構想で1人1台端末など情報通信技術(ICT)環境が一気に充実したことを背景に、これまで同一年齢の子どもを一つの教室で学ばせることが基本だった学校の在り方が、より柔軟になるかもしれません。高校でも、全日制・定時制・通信制といった課程の枠が緩やかになったり、地域の高校を残すため遠隔教育を大幅に拡充したりするなどの方向性が検討されています。

教員の働き方や給与の在り方も焦点

現在、学校の多忙化や教師不足が深刻な課題となっています。文部科学省は昨年12月20日、「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」を発足させました。当面の焦点は、公立学校教員の給与の在り方です。残業代の代わりに給与月額の4%を上乗せする現行の「教職調整額」は近年、「定額働かせ放題」とも批判されています。もっとも実態に合わせた給与を支払うには、国と地方で兆単位の予算も必要になります。
そのため給与制度の問題を単独で論議するにとどまらず、先に紹介した教室の在り方などの制度改革、正規教員の勤務や人数の決め方(教職員定数)、外部の人材やリソース(資源)の活用など、さまざまな論点を関連付けて議論するものとみられます。

学習指導要領の改訂にも着手

12月22日には、教育課程に関する有識者検討会も発足させました。学校制度改革も視野に入れながら、次期学習指導要領に向けた議論を行うものとみられます。検討会の提言を受けて、改めて中教審に諮問したうえで、2027年に改訂を告示し、30年度の小学校を皮切りに順次全面実施となる見通しです。
現行の指導要領は、「何ができるようになるか」まで問おうとしました。ただし教える内容が多すぎて、授業に余裕がなくなっているとの指摘もあります。今後どのように未来志向の授業像を描いていけるかも、注目点です。

まとめ & 実践 TIPS

第11期中教審の下では、次期教育振興基本計画(2023~27年度)の答申も行われる予定です。ここでは目指すべき社会像を、先進諸国で重視されてきている「ウェルビーイング」(経済的・精神的な豊かさも含め心身ともに幸福な状態)の日本的な実現とし、「多様性、公平・公正、包摂性(DE&I)」のある社会に向けて、誰一人取り残さない教育を目指すことを打ち出す見通しです。
22年は、国内外で不穏な動きが頻発しました。23年は、子どもたちが社会で活躍する30年代に向けて、明るい展望を描く年になってほしいものです。

(筆者:渡辺 敦司)

個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会
義務教育の在り方ワーキンググループ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/090/index.html

高等学校教育の在り方ワーキンググループ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/091/index.html


質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会(第1回)の開催について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/183/kaisai/1422833_00009.htm

今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会(第1回)の開催について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/184/kaisai/mext_01303.html

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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