今さら聞けない!「円安」が家計に与える影響と家庭ですべき対策

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このところ、食料品や日用品、電気料金などが値上がりしています。
理由は一つではありませんが、「円安」は大きな要因と思われます。円高・円安について学生時代に学んだ人も多いはずです。おさらいしながら対策を考えてみましょう。

この記事のポイント

円安の影響を受けるのは経済が海外とつながっているから

「円安」というのは、円が円以外の通貨に対して価値が下がることです。円を外国のお金に両替しようとすると、これまでよりも少ない金額にしか取り換えてもらえません。

日本銀行のサイトでは円高・円安について次のように説明されています。

「円高とは、円の他通貨に対する相対的価値、言い換えると、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多い状態のことです。逆に、円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。

たとえば、日本人が旅先のハワイで買い物をするため、手元にある1万円をドルに両替するとします。

為替相場が1ドル=100円であれば、1万を100で割った100ドルになります。
しかし、もし為替相場が1ドル=80円であれば、1万を80で割った125ドルになり、また、1ドル=125円であれば、1万を125で割った80ドルになります。

これらを比べると、1ドル=80円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより多くのドルを取得できるので、円高ということになります。
逆に、1ドル=125円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより少ないドルしか取得できないので、円安ということになります」

海外旅行に行っているわけでもないのに、なぜ円安が私たちの生活に関係するのでしょうか。日本国内の食料品などの価格が値上がりしていて困るという話をしているはずなのに。

実は、私たちが国内の店で食料品や日用品を円で買っている流通のずっと前の段階では、円を外国のお金に両替して海外から買い物をしているからです。

私たちの食料品や日用品は、すべて日本で最初から育てられたり作られたりしているわけではありません。海外で育てられたり作られたりしたものや、日本国内で加工するための原材料が輸入されているわけですが、円はドルなどの外国の通貨に対して価値が下がっているために、輸入品への支払いに多くの円を必要とします。その影響を受けて、私たちが国内で買う品物が値上がりしているのです。

焦りすぎずコツコツと丁寧に暮らす

家計を守るには、支出を抑えるか、収入を増やすしかありません。

ただでさえ、子どもの成長に伴って食費などの基本生活費は増えていきます。モノが値上がりする中、これまでと同じ暮らし方をしていては支出は増える一方です。

それでも、私たちが直接モノの値段を下げることができるわけではないので、これまでと同じモノを購入するのであれば、価格の安い店を探したり、いくらかでも安価な時にまとめ買いしたり、使い切れずに捨てることがないように大切に使ったりするなど、円安とは関係ない時にも行っている節約や丁寧な暮らしを心がけることです。

これまで固定費の見直しを先送りしてきたのなら、思い切ってきちんと考えてみましょう。生命保険料や通信費などの固定費を抑えることができれば、毎月あれこれ悩まずに効果を維持することが可能になります。

なお、保険料負担を抑えるために保険契約そのものを解約することは絶対にしないでください。子育て期間中の必要保障額は手放してはいけません。保護者に万一のことがあっても、保険金があればお子さんは現在の学校に通い続けることや進学をあきらめずに済むはずです。

先を見据えて投資する

家計が苦しくなる中、目の前の節約や収入増が気になります。もちろん、それらも大切なことですが、円安のメリットについても目を向けてみましょう。

各国の経済政策の違いにより、預貯金の金利が日本よりも高い通貨がありますが、たとえば円よりも金利の高いドル預金をして円預金よりも増やす方法があります。そのドル預金を円に戻す際に円安が進んでいたら、受け取れる円はさらに増えることになります。

ドルを円にする際に円高になっていれば、せっかくドルで増やした分が減ってしまうことになる「為替リスク」がありますし、通貨の交換には手数料がかかるため注意は必要ですが、すぐに使わない預貯金の一部を外貨建ての預金や投資に回すことを考えてみてはいかがでしょう。

投資は、投資した元の金額よりも増えたり減ったりしながらも、中長期的には増えるといわれています。預貯金と組み合わせながら上手に投資をしたいものです。

教育資金の18年間は「中長期」に含めない

「中長期」の年数は○年という風に決まっているわけではありませんが、ライフプラン上、子どもが生まれてから大学進学までの18年間は決して「短期」ではないですし、「長期」に分類されることもないと思われます。

でも、期間としては中長期に分類される年数であるとしても、子どもの進学資金の準備方法として外貨建ての投資商品を選ぶことはオススメしません。

金利の高い外貨建て預金で利息を増やしたとしても、円での支払いを必要とする時期に円高になっていると、予測していた金額よりも受取額が少なくなったり、元本割れしたりする可能性があり、進学費用が不足することもあるからです。

教育資金用のお金にゆとりがないほど、大きなリスクを取ってでも増える方法を考えたくなりますが、安全性を忘れないようにしてください。

まとめ & 実践 TIPS

今回は、「円安」の際に家庭でできる対策として、焦りすぎずコツコツと丁寧に暮らすコツや、先を見据えて投資するときのポイント、教育資金を考える際の注意点などをお伝えしました。
社会の状況が変化する中でも、先を見据えて備えていけるとよいですね。

出典:
日本銀行「教えて!にちぎん」Q円高、円安とは何ですか?
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/intl/g18.htm/

菅原直子

「らいふでざいん菅原おふぃす」代表。ファイナンシャルプランナー、教育資金コンサルタント。子育て世帯の教育費を中心としたライフプラン相談、進学資金が不足している高校生と保護者向けの教育資金セミナーおよび親が老後破産しないためのアドバイスに注力中。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。子どもは3人。

プロフィール



メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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