【Q&A】児童手当 所得制限を超える高収入世帯は廃止へ 世帯のうち収入が1,200万円以上の人が対象に どんな影響がある?

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Q 児童手当が見直されるのはなぜ?

A 少子化対策の一環として、待機児童解消の財源を確保するため

社会全体で子どもの成長を支える「児童手当制度」。国内に住所のある中学校修了(15歳に到達した最初の年度末)までの児童を扶養する父母等に、支給されます(表1)。所得制限などの一定条件はありますが、現在「特例給付」として、所得制限限度額以上の高収入世帯にも、子ども1人につき一律5,000円が支給されています。この特例給付に所得制限を設けるというのが、今回の見直しです。

政府が推し進める少子化対策では、働きたくても子どもの預け先がない「待機児童」の解消が重点項目の1つとなっています。厚生労働省によると、その待機児童数は2020年4月1日時点で1万2,439人。2021年度から2024年度までの4年間で約14万人の保育の受け皿を整備するというものです。

児童手当は2020年度予算で、児童1,660万人に対し給付総額が、2兆929億円。財源を捻出するためには何かを削るしかなく、子育て世帯すべてに給付されている児童手当のうち、特例給付に年収制限を設けることで、待機児童解消の財源にあてるというわけです。

表1 児童手当

Q いつからどのように見直されるの?

A 2022年10月支給分から、世帯のうち収入が1,200万円以上の人が廃止の対象に

表1の通り、今回の見直しで、所得制限を超える子育て世帯への「特例給付」が廃止される見通しです。
廃止の対象となるのは、2022年10月以降、主な生計維持者(夫婦どちらか)の年収が1,200万円以上の世帯で、対象となる子どもは61万人とみられます。

Q 家計への影響はどうなるの?

A 廃止の対象は限定的ですが、災害や社会情勢の変化に負けない家計作りを

児童手当制度では、表2のように、年収103万円以下の配偶者は扶養される人数にカウントされます。例えば、子ども3人と配偶者を扶養している世帯の場合、目安額として年収1,002万円(所得額774万円)までなら、児童手当は満額受け取れます。子どもの年齢によりますが、この世帯で1年間に受け取る児童手当額の総額は42万円。

一方、同じ家族構成・状況の年収1,200万円の世帯では、児童手当は受け取れなくなります。年収ベースで200万円の差があっても、税と社会保険料はその分上がるので、手取りでは120万円程度の差異しかないという可能性もあります。それに加えて年間42万円の児童手当が受け取れないとなると、収入に見合った生活の質を実感することが減ってしまうかもしれません。

また、このコロナ禍で経験したように、災害や社会情勢の変化で予期せぬ大打撃を受けることもあります。ちなみに、今回廃止される児童手当の特例給付年額6万円を、15年間受給した場合の総額は90万円。すべて積み立てると、国立大学や一部の私立大学文系学部の1年間の授業料程度が賄えそうです。

今回の児童手当の見直しは、高収入世帯の特例給付を部分的に廃止するものですが、子育て世帯にとって歓迎できることではありません。ただ、収入、支出、運用などさまざまな角度で今からできることを考えるのは、どの世帯にも共通する、変化に負けない家計管理の近道と言えそうです。

表2 児童手当 所得制限限度額

(出典:内閣府HP児童手当) https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/gaiyou.html

参考
厚生労働省「新子育て安心プラン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000202678_00005.html

内閣府 子ども・子育て支援新制度 児童手当
https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/index.html

中上直子

中上直子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活コンサルタント。
マネー、消費生活、消費者教育などをテーマに編集・執筆、教材企画、講座講師、講師養成などで活動。日本消費者教育学会会員。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/
一般社団法人消費生活総合サポートセンター(Cサポ)理事
https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/

参考
厚生労働省「新子育て安心プラン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000202678_00005.html

内閣府 子ども・子育て支援新制度 児童手当
https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/index.html

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メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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