水族館は、子どもの知的好奇心を広げる絶好の場所
水族館の醍醐味は、日常生活では目にすることのできない魚や、珍しい生き物を見ることができることです。こうした生き物を間近で見ることは、お子さまの興味関心や知的好奇心を広げるきかっけにもなりますし、自由研究の場としても活用できます。
そこで今回は、サンシャイン水族館で魚類担当の飼育スタッフである瀬川裕啓さんに、水族館の生き物の面白い生態について伺いました。
水族館で人気のマンボウ、謎の生態とは!?
少し前に、スマートフォンの育成ゲームでも話題になったマンボウ。ゲームではストレスや衝撃で「すぐに死んでしまう」生き物として注目されていました。これは誇張といえますが、マンボウがストレスに弱いというのは事実です。例えば、マンボウ同士が同じ水槽にいて、片方のマンボウが相手の存在にストレスを感じていた場合、体調を崩すことがあります。
また、マンボウの食性にも注目したいところです。野生のマンボウは、ふだんクラゲを食べていることが多いとされていますが、水族館でエサとしてクラゲを与えるのは難しいです。そのため、サンシャイン水族館では、イカとエビのすり身を団子にして与えています。ほかの水族館では、この団子をゼラチンで包み、クラゲの食感に似せて食べさせている場合もあるといいます。
実は、マンボウはまだまだ生態に謎が多い生き物。マンボウが水族館で何を食べているかは、本やインターネットでもあまり知られていないことなので、こうしたことを水族館の飼育スタッフに直接聞いてみると、新しい情報を知ることができます。
イカのスミとタコのスミの違いは何?
スイスイと水中を漂うイカ。やや地味なイメージなのでさらっと通り過ぎてしまうことも多いかもしれませんが、興味深い特性もあります。
スミを吐く生き物はイカのほかにタコがいますが、イカのスミとタコのスミは水中での役割が違います。どちらも外敵から身を護るためにスミを吐き出しますが、タコのスミは煙幕のように広がり敵の視界を遮ることで、敵から逃れられるようになっています。一方、イカのスミは粘り気が強いためすぐに水中に散らばらず、イカ自身と同じくらいの塊になります。つまり、スミをダミーにして敵の関心をひきつけている間に、イカは逃げるのです。
このように、同じようなイメージのあるイカとタコの違いやスミの役割について調べてみるのもおもしろいですよ。
<画像提供:サンシャイン水族館>
水族館の飼育スタッフ・解説員に積極的に話を聞いてみよう
上記では、2つの生き物の生態について紹介しましたが、面白い生態について知りたい場合は、水族館の飼育スタッフや解説員に質問をしてみるのがおすすめです。事前に図鑑などで興味のある生き物を下調べして着眼点を見つけておき、気になったことを質問したり、その場で感じた素朴な疑問をぶつけてみるのもよいでしょう。スタッフは専門的な話から面白い話まで、たくさんの情報を持っているので、丁寧に教えてくれるはずです。
また、「知的好奇心を刺激する」というと、保護者のかたは、ためになるものや、学習に役立つものをお子さまにすすめがちですが、それだけではなく、本人の興味のあることに、とことん付き合ってほしいと思います。水族館の場合は、大人が面白いと思うようなペンギンやマンボウにはあまり興味を示さず、水槽の隅にいる小さなヒトデを気に入り、ずっと見ている……なんていうこともあるかもしれません。保護者のかたは、生き物を見ているお子さまを観察して、どんなことに興味関心があるのか見守る気持ちで楽しんでいただければと思います。
取材協力:サンシャイン水族館
http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/