幼稚園施設、大人も交流できる場に 整備指針を改訂

幼稚園の授業は4月から、小学校などの新学習指導要領に先立って、新教育要領に基づいて行われています。これに合わせて文部科学省は3月、幼稚園施設整備指針を改訂しました。
子どもの資質・能力を引き出すような環境整備を充実させた他、保護者はもとより地域住民も含め、幼児教育や子育てに関わる大人たちにとっても学び合い、支え合い、交流できる心地よい環境にすることを求めています。

自然と触れ合える環境整備も

「環境を通して行う」のが、幼稚園教育の基本です。ここで言う「環境」とは、自然、動植物、物や遊具、文化や伝統など、さまざまなものを含んでいます。遊びを通して幼児自らが主体的に活動することで、自ら気付き、学んでいくものです。先生の役割も、小学校のように先生が前に立って授業をするというより、計画的に環境を整え、遊びを通して幼児の力を引き出すように指導することが重要です。

一方、教育要領の改訂では、小・中・高と同様の資質・能力を育成することにしていますが、幼児期にふさわしいよう、(1)知識・技能の基礎(2)思考力・判断力・表現力等の基礎(3)学びに向かう力・人間性等……と、(1)(2)に「基礎」を付けています。
そのために、5歳児修了時までに育ってほしい「10の姿」(「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」)も明確にしました。
そうした資質・能力を育成するためにも、計画的な環境の構成がますます重要になります。施設整備指針では、幼児自身の興味や関心に応じてさまざまな環境ができるような屋内環境整備、自然との触れ合いや体を使った遊びができる屋外・半屋外環境整備を求めています。

相談・交流スペースの設置も

「社会に開かれた教育課程」も、小・中・高と共通する今回の改訂のポイントです。社会の変化を柔軟に受け止めるとともに、学校教育を通してよりよい社会を創っていくという理念を社会と共有し、保護者はもちろん地域の人たちや社会教育の関係者とも連携しながら、子どもを育てていくことが求められています。

また、従来から幼稚園は、地域における「幼児期の教育センター」としての役割が期待されています。そのため施設整備指針も、「幼児教育・子育てに関わる大人達にとっても、学び合い、支え合い、交流することができる心地よい環境とする」(調査研究協力者会議報告書)ことを目指して、改訂を行っています。
具体的には、保護者同士の交流を促すスペースや、職員室に保護者との相談を行うスペース、幼児の送迎時に保護者同士や教職員との交流ができるスペースを設けたり、地域住民との触れ合いの場としても意義のある通園路を設定したりすることを盛り込みました。

この他、障害児に対応したバリアフリー化、危険を回避する力を身に付ける環境づくり、遮音や吸音なども求めています。
幼児期の学びは、小学校以降の学習の基礎となるものです。全国的な老朽化が進み、待機児童対策の一環で預かり保育の充実も求められるなか、幼稚園施設の一層の充実に努めてもらいたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※幼稚園施設整備指針の改訂
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/toushin/1402617.htm

※報告書「これからの幼稚園施設の在り方について~幼児教育の場にふさわしい環境づくりを目指して~」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/toushin/1402616.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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