グローバルな能力は国内でも不可欠! OECDが提唱

2020年度から新学習指導要領で小学校英語が教科化されたり、大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」(21年1月実施)で外部資格・検定試験を活用した英語4技能評価が導入されたりするなど、英語教育の強化が急速に進められています。
しかし、英語が使えることは一つのツールであって、大きな目的は、グローバル化がますます進む国内外の社会で活躍するのに必要な資質・能力を子どもたちに身に付けさせるためであることを見逃してはいけません。
経済協力開発機構(OECD)も、「生徒の学習到達度調査」(PISA)の一環として次回2018年調査で「グローバル・コンピテンス」(GC)を出題しようとしています。どのような資質・能力が必要なのでしょうか。

他者の視点や世界観を理解

東京大学の公共政策大学院は先頃、東京・渋谷でGCに関する国際シンポジウムを開催しました。OECDと米国の非営利団体アジア・ソサエティーが共同で調査報告書をまとめたのがきっかけです。
報告書では、GCの構成要素として4つを特定。グローバルに能力を発揮する若者は、(1)ローカル・グローバル・文化的に重要な課題を検討することによって、彼らに近しい環境を超えて世界を探求し、(2)他者の視点や世界観を理解、認識し、認め、(3)文化を超えたオープンで適切かつ効率的なやりとりを行い、多様な人々と考えを伝え合い、(4)ローカルかつグローバルに集団的な幸福や安泰と持続可能な発展のための行動を起こす……と定義しています。

アンドレアス・シュライヒャーOECD教育・スキル局長は、PISA2018で出題するGC調査で、認知テストと質問紙によって、「知識」「認知スキル」「社会スキルと態度」の3側面を測定することを明らかにしながら、学校は子どもたちが社会の多様性に出会う最初の場であり、GCを学ぶ機会を提供する必要性を訴えました。

一部エリートだけでなくすべての子たちに不可欠

ここでは、グローバル(地球規模)だけでなくローカル(地域)も意識していること、そして社会の多様性を重視していることに、注意する必要があるでしょう。
「グローカル」という造語もある通り、国内にいても海外との経済的・社会的つながりが欠かせないことは言うまでもありません。また、国際的な問題の解決を考えることは、地域課題の解決にも応用できますし、当然その逆も可能です。
また、今や全国どこの学校でも、外国にルーツを持つ子どもがクラスに複数いても珍しくありません。お互いの文化的アイデンティティーに敬意を払い、異文化を持った他者と一緒に物事を成し遂げる経験は、きっとグローバルに活躍できる力の素地となることでしょう。

GC調査はPISAの他分野と違って国のランクは付けない予定ですが、日本は参加を見送るといいます。しかしGC自体は、一部のエリートだけに必要なものではなく、これからのグローバル社会を生きるすべての子どもたちに不可欠な能力です。アジア・ソサエティーのディレクター、アンソニー・ジャクソン氏も、日本の指導要領にグローバルな視点を融合するだけで、GCを教えることが可能だとの見方を示しました。新指導要領の実施をきっかけに、各学校でも力を入れてほしいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※国際シンポジウム 「グローバルコンピテンスと次世代の学び」
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/events/2018-02-14-12836/

※報告書「急速に変化する世界におけるグローバル・コンピテンシーのための教育」
http://www.oecd-ilibrary.org/education/teaching-for-global-competence-in-a-rapidly-changing-world_9789264289024-en

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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