外部検定は高校1年生で受検してもいいの?

2021年1月から大学入試センター試験に代わって実施される「大学入学共通テスト」の英語の4技能(聞く・読む・話す・書く)評価では、外部の英語資格・検定試験が活用されます。昨年末までにベネッセコーポレーションのGTECなど、7団体が24種類の外部検定について、大学入試センターに参加を申し込みました。参加要件を満たしているか確認作業のうえ、3月末までに参加が正式に決定することになっています。
ところで、既にこうした外部検定を受検し、資格やスコアを取得している人も多いと思います。参加要件を満たした外部検定は、高校1年生の時など、いつ受検してもいいのでしょうか。

成績提供は高3の4~12月、2回までの結果に限る

結論から言いましょう。入試センターの「大学入試英語成績提供システム」によって各大学に提供されるのは、高校3年生の4~12月に受検した、2回までの結果に限られます。
具体的には、受検の際、事前に入試センターへの結果通知に同意しておく必要があります。外部検定の実施団体は、結果を入試センターに通知。それらを集約した入試センターは、受験生が出願した大学に、共通テストの成績と一緒に、結果を提供します。

ただし、有効期限の取り扱いや、既卒者(浪人生)の対応については、今後検討するとしています。また、障害のある受検者の一部など、外部検定では十分に対応できない場合への対応についても今後、取り扱いを検討します。

経済格差や受験早期化に配慮して受検期間設定

ところで、なぜ高3の2回までという受検期間設定が設けられることになったのでしょうか。
既に実績のある外部検定では、有効期限などの扱いがまちまちです。そのため、高1時など早くから受検できる者ほど有利になります。そうなると、何回もの受検料を負担できる家庭ほど有利になってしまいます。高校でも、入学後すぐ外部検定の対策に追われ、実質的に受験対策が早期化するなど、教育への影響が心配されます。

これについては、昨年5月に実施方針案が公表された際、日本私立中学高等学校連合会が、過去に得た高いスコアも利用可能にすべきだとの意見を表明していました。一方で、私立高校も加盟する全国高等学校長協会は、経済格差などが生じないよう配慮を要請。全国都道府県教育長協議会は「経済的に恵まれ、高校2年生までに複数回受検できる受検者が有利になってしまう恐れがある」として、不公平が生じることがないよう負担軽減策を求めました。また、文科省によると、大学側には「直近の成績を見たい」という声が強かったといいます。

こうした意見を総合的に勘案したうえで、高3の4~12月に2回という受検期間を設けたわけです。
それでも、共通テストの受験料(現行のセンター試験は2教科以下1万2000円、3教科以上1万8000円)に加えて、現在は5000円前後から2万5000円前後まである外部検定の受検料を2回分負担するだけでも大変です。実施会場が限られていれば、受検のための交通費はもとより、遠隔地の場合は宿泊費まで掛かることになります。
入試センターの参加要件では、原則として全都道府県で実施すること(当面は全国10カ所以上)、経済的に困難な受検生への検定料の配慮などを公表することなどを求めています。共通テストや個別大学の受験料も含めて、より手厚い受験生への配慮を期待したいところです。

(筆者:渡辺敦司)


2019年11月1日、文部科学省より2020年度(令和2年度)の大学入試における英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ることが発表されました。

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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