重要な「学校が居場所」 今どきの若者、人とのつながりは

休みが明けて学校が再開されると、今どきの子どもにとって心配の一つに、クラスでの人間関係が変化していないか……ということがあります。
心が傷付きやすいといわれる今どきの若者にとって、人とのつながりを実感できるかどうかは、非常に重要です。現状はどうなっているのでしょうか。

やはり家族や友人 ネットには二面性

2017(平成29)年版の「子供・若者白書」の特集は、「若者にとっての人とのつながり」でした。内閣府が2016(平成28)年12月に15~29歳の6,000人を対象にしたインターネット調査の結果を分析したものです。ここでは、つながりの場を、家庭、学校、地域、職場、インターネット空間、さらには「自分の部屋」を加えた6つの場所に分けて調査しています。

それぞれについて、自分の居場所だと思う割合(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計、以下同様)は、(1)自分の部屋89.0%(2)家庭79.9%(3)インターネット空間62.1%(4)地域58.5%(5)学校49.2%(6)職場39.2%の順となっています。

つながりの対象を、▽家族・親族▽学校で出会った友人▽職場・アルバイト関係の人▽地域の人▽インターネット上の人……の5つに分けたところ、家族・親族は「楽しく話せる時がある」81.0%、「困ったときは助けてくれる」78.4%、「強いつながりを感じている」69.7%。学校の友人は、各76.9%・65.0%・59.6%と、家族・親族より低めです。これに対して、インターネット上の人は、各37.5%・21.8%・21.8%と、ずっと低くなっています。

しかしインターネット上でのつながりは、今や若者にとって自然な存在です。「率直に話ができるので便利」(61.3%)、「深く関わらなくてすむので参加しやすい」(67.7%)という一方で、「自分や相手の気持ちが伝わりづらい」(68.8%)、「自分の情報が悪用されそうで心配だ」(62.8%)も多くなっています。そんな両面性を持った存在だということを、若者側も自覚しておく必要があるでしょう。

他者との協働を学ぶにも

白書が注目しているのは、学校です。
学校が居場所となっているかどうかの設問に、「そう思わない」と回答したのは12.7%で、8人に1人。40人のクラスのうち、5人は居場所と感じられていないことになります。

学校を居場所と感じられない人は、その40.5%が、「何でも悩みを相談できる」家族・親族がいないと回答しています。学校をそれほど居場所と感じていない人(「どちらかといえばそう思わない」と回答)でも12.9%にとどまっていることを考えれば、非常に高い数値です。同様に、何でも悩みを相談できる学校で出会った友人がいないのは40.2%でした。

学校は、小さな社会といわれます。また、思春期に入って反抗期になると、保護者との関係もぎくしゃくするものです。精神的な発達と社会的な人間関係を促すのも、学校の重要な役割です。次期学習指導要領や高大接続改革で指摘されるとおり、他者と協働して勉強や仕事をすることがますます重要になるなか、学校での手厚い支援や指導がいっそう求められるところでしょう。

つながりが比較的弱いと思われる若者は、暮らし向きや生活の充実度、他者との交流についても評価が低くなっています。学校の中で、人とつながれる力を付けさせる授業や教育活動が期待されます。

※2017年版子供・若者白書
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h29honpen/pdf_index.html

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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