どの大学生にも必要な「問題発見・解決能力」、高校でも準備を

高大接続改革の実施方針等が決定し、2021(平成33)年度大学入学者選抜(現在の中学3年生が受験)に向けた準備も急ピッチで進むことでしょう。ところで高大接続改革は、入学者選抜だけでなく、高校教育と大学教育の3者を一体で改革するものであることを忘れてはいけません。進学後の大学では、何が求められるのでしょうか。

どの学部を出ても社会に出て通用するために

高大接続改革は、高校と大学を通じて、「生きる力」、とりわけ「確かな学力」を育成することを目指しています。確かな学力は、(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力(3)主体性・多様性・協働性……で構成されていますが、これは、学校教育法で定める「学力の3要素」のうち、3番目の「主体的に学習に取り組む態度」を、高校・大学向けに言い換えたものです。学力の3要素は、元々は小・中・高校向けのものでした。

一方、大学に関しては、2000年代に入ってから、「学士力」(文部科学省)、「社会人基礎力」(経済産業省)、「人間力」(内閣府)といった、学部等の専門分野を超えた<汎用的能力>を育成する必要性が、相次いで提言されてきました。卒業生の多くは就職するのですから、どの学部を出ても、社会に出てから活用できる力をつけなければいけない……という考え方です。

そうしたなか、現行の第2期教育振興基本計画(2013~17<平成25~29>年度)で掲げられているのが、「課題探求能力」です。元々は1998(平成10)年の大学審議会(現在は中央教育審議会に大学分科会として統合)答申で提言されたもので、「主体的に変化に対応し、自ら将来の課題を探求し、その課題に対して幅広い視野から柔軟かつ総合的な判断を下すことのできる力」とされています。

現在、第3期計画(2018~22<平成30~34>年度)に向けた論議が中教審で行われており、大学などの高等教育段階で目指すべき方向性として、課題探求能力を「問題発見・解決能力の修得」と言い換えることを検討していますが、定義はほとんど同じです。

能動的な学習姿勢が不可欠

中教審の教育振興基本計画部会では、問題発見・解決能力について、「新たな知識・技能を修得するだけではなく、学んだ知識・技能を実践・応用する力、さらには自ら問題の発見・解決に取り組む力を育成することが特に重要」だと押さえています。

明確な指標や目標を定めるだけでなく、その達成のために、測定指標を設けて、実現できているかをチェックしていこうというのが、第3期計画の考え方です。課題探求能力に関しては、何らかのテストをして測るといったような、一律的な把握は困難なため、▽授業が課題探求能力の育成に「役立っている」と回答する学生の割合の増加▽大学の授業が学生の能動的学修(アクティブ・ラーニング=AL)を促す形態(少人数クラス、演習・ゼミ形式など)になっている割合の改善▽予習・復習時間の充実……といった成果で測ろうとしています。

逆に言えば、これからの学生には、ALをはじめとした能動的な学習姿勢が求められるということです。小・中・高校の次期学習指導要領でも、ALによる「主体的・対話的で深い学び」が求められています。どの学部に進もうと、ALのような学習に積極的に取り組もうという姿勢を身に付けておくことが不可欠です。

※教育振興基本計画部会(第15回)配布資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo14/giji_list/index.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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