個別入試改革に動き出す大学 高大接続改革を受けて

大学教育・高校教育・大学入学者選抜を一体で変える「高大接続改革」の諸方針が、「年度初頭」としていた予定から遅れて、ようやく確定しました。既に大学側も、個別入試改革に向けて動き出しています。

北大は「開拓者精神」を具体化

出願から受験、入学手続きまですべてインターネット上で実施する……。北海道大学は5月、2021(平成33)年度入学者選抜(現在の中学3年生が受験)から後期試験の一部に「未来型人材育成選抜試験」を導入する方針を発表しました。大学入学共通テスト(大学入試センター試験の後継テスト)や高校の調査書(現在より詳しく記載するよう改定)、学部などの選抜群で課す試験はもとより、科学五輪など課外活動の受賞・表彰履歴、国際バカロレア、英語資格・検定試験などについて細かく評価基準を決めて、合否を決めるといいます。6月に東京都内で行われたセミナーで内容を紹介した鈴木誠教授は、「掃除なども含めて、高校生活で無駄なものは一つもない」と説明しました。

同入試の特色は、ネット活用というだけではありません。「北大版コンピテンシー(資質・能力)」を具体的に定め、それにふさわしい入学生を選ぶのが主眼です。北大といえばクラーク博士の「少年よ、大志を抱け」(Boys, be ambitious!)が有名ですが、その開拓者精神を、世界的な研究大学として具体化するために、▽知の創造で未来を切り拓く▽多様な集団と効率的に協働する▽世界の持続的発展を牽引する▽一生にわたる豊かな学びを実現する……を設定し、「最後まで目標を探究する力」「豊かなコミュニケーション力」「多様な文化や価値観の寛容」「進取の精神に基づく自立的な学び」など具体的な評価項目を立て、学部などで重視する項目の比重を変えて選抜しようとしています。

高度な教養を測るための教科横断的な「コンピテンシーテスト」も実施したい考えです。まだ当初から入学者選抜に使える目途は立っていませんが、北大版コンピテンシーが具体的な形になることで「前期試験にも影響を与える」と鈴木教授は説明しました。

1点刻みのテスト対策だけでなく

2021(平成33)年度入学者選抜に向けては、各大学から今後こうした発表が続出するものと見られます。とりわけ国立大学では、入学定員の3割を、多面的・総合的な評価を行うAO・推薦入試(名称は「総合型選抜」「学校推薦型選抜」に)等に充てる申し合わせを行っています。

既に2016(平成28)年度入学者選抜から東京大学が「推薦入試」、京都大学が「特色入試」を実施している他、大阪大学の「世界適塾入試」(17<同29>年度入学者選抜から)、お茶の水女子大学の「新フンボルト入試」(同)も、高大接続改革を先取りしたものと位置付けられます。

パソコンの活用という点では、佐賀大学が2018(平成30)年度入学者選抜から理工学部と農学部の推薦入試で、国立大学初の「CBT(コンピューター活用テスト)試験」を実施すると発表しました。数学・理科・英語の問題を出題し、間違っても再チャレンジ問題を出すことで、基礎学力はもとより学習力を測るとしています。

いずれも一部定員が対象ですが、北大の例に見られるとおり、入学後に大活躍してくれるような、その大学にふさわしい多様な学生を採ろうという努力の表れです。もちろん、こうした入試改革は国立大学に限りません。今後は1点刻みのテスト対策だけではない、幅広い「勉強」が高校時代に求められます。

※北海道大学入試改革フォーラム2017
https://www.hokudai.ac.jp/admission/about/hidden/29-forum.html

※佐賀大学版CBT試験実施について(予告)
http://www.sao.saga-u.ac.jp/PDF/H30/CBTjisshi_yokoku.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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