デジタルネイティブの勉強法はどう変わる?

内閣府の調査(*1)によると、2016年現在、中学生の82.2%がスマートフォンやパソコンなど何らかの接続機器を使って、インターネットを利用していると答えています。デジタルネイティブな今の中学生は、家での学習や学校での授業など、勉強にICTメディアをどれくらい使っているのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所の調査データからその実態をみていきたいと思います。

1.半数の中学生が家庭学習にICTメディアを活用。多いのは「辞書利用」「情報収集」「友だちへの質問」。

中学2年生にパソコンやスマートフォン、タブレットなどを使って勉強することがあるかをたずねたところ、49.9%が「ある」と回答しています(図1)。使っている人に、その内容をたずねると、英語や国語などの辞書利用や調べ学習などのための情報収集での利用が6割と多くなっています。次いで多いのが「メールやチャットで友だちにわからないところを質問する」が5割でした。チャットではおしゃべりかと思いきや、勉強に関する質問でも結構使われているようです。

図1 ICTメディアの学習利用の有無と利用内容(中学2年生)

注)対象は2,699名。

注)対象は「よくある」「時々ある」の回答者のみ(1,347名)
ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」2015

2.やはり気になる状況も

しかし、ちょっと心配なデータもあります。中学生に家での勉強のようすをたずねたところ、「携帯電話やスマートフォンを手元に置いたまま勉強する」と答えた中学生は44.0%、「携帯電話やスマートフォンが気になって勉強に集中できない」が30.8%でした(図2)。たとえ友だちに勉強に関する質問をしていても、また別の話になったり、というのが実態なのでしょう。特に成績下位層ではその比率が高くなっており、注意が必要です。

図2 家での勉強のようす(中学2年生)

注)「あてはまる」+「まああてはまる」の%。

ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」2015

保護者の方にとっては、いつから子どもに自分専用のスマートフォンなどを持たせるかというのは悩ましいところだと思います。では、自分専用の端末を持っているか否かで勉強のようすはどのように違うのでしょうか。

2015年に実施した調査では、「自分専用の携帯電話・スマートフォンを持っている」中学生は約半数の52.6%でした。さらに所有の有無別にみると(図3)、自分専用の携帯やスマートフォンを持っている中学生の方が、持っていない人より、勉強中「手元に置いたまま勉強する」の肯定率は34ポイント高く、「勉強に集中できない」との肯定率は22ポイント高くなっています。しかし見方をかえれば、自分専用の携帯電話やスマートフォンを持っていても約4割は勉強中は手元に置かず、約6割は勉強に支障はないと答えていることになります。

図3 家での勉強のようす(自分専用の携帯・スマートフォン有無別)(中学2年生)

ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」2015

これは、家庭でのルールや学校の指導によるところも大きいと思いますが、データからは、多くの子どもが勉強の時にはコントロールができているようです。しかし、それができず勉強の妨げになっている子も少なからずいます。けじめをつけてICTメディアを使えるかどうかは、成績にも影響を及ぼすと言えます。

3.学校の授業での生徒のICT機器の活用は低調

一方、学校のふだんの教科の授業では、どれくらいICT機器が活用されているのでしょうか。教員を対象にたずねた結果(図4)では、教員による学習素材などの提示用の使用は5割を超えていますが、子どもたち自身が、国・社・数・理・英の5教科の授業でPCやタブレットPCを使う活動はまだそれほど行われていないようです。学校ではまだまだ紙が主流で、家で自らアプリや動画を活用して学習している子どもたちの方が進んでいっているようです。

図4 学校の教科の授業でのICT機器の活用状況(中学校教員)

注)対象者は、国語・社会・数学・理科・外国語のいずれかを担当している教員3,689名。
ベネッセ教育総合研究所「第6回学習指導基本調査」2016

しかしながら、文部科学省は、次期学習指導要領が実施される2020年までに、生徒1人に1台のタブレットPCが使えるよう、学校の環境整備を行う方針を打ち出しています。また、次期学習指導要領ではプログラミング教育を含む情報活用能力の育成が掲げられており、小学校の各教科等の授業へのプログラミング教育の導入や、中学校の「技術・家庭」における情報技術に関する学習の一層の充実が図られようとしています。これからの子どもたちには、単なるネット上の情報・サービスの利用者にとどまるのではなく、自ら情報技術を理解し、コンテンツを生み出していく力も求められようとしています。

デジタル化の進展は待ってくれません。スマートフォンなどのデジタル機器と上手に付き合いながら、使いこなしていくスキルも重要です。ネットに時間を奪われるのではなく、自らコントロールができているのか、夏休みのこの時期に今一度親子で上手な付き合い方について考えてみるのもよいかもしれません。

*1 内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」2016年

出典:
ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=4801
ベネッセ教育総合研究所「第6回学習指導基本調査」
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5080

プロフィール

吉本真代

2004年よりベネッセ教育総合研究所で、アセスメント研究や大学における高大連携活動の企画・運営に携わり、近年は高等教育領域から初等中等教育領域まで、子ども・教員を対象とした調査を軸に研究を行っている。担当した主な調査に「第6回学習指導基本調査[2016]」、「第5回学習基本調査 [2015]」「中高生のICT利用実態調査 [2014]」、「第2回 大学生の学習・生活実態調査 [2012]」など。

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