外国人児童生徒にどう対応すべきか

英語教育の充実など、グローバル化への対応が大きな課題となっています。しかしグローバル化とは、日本人が英語を使って海外で活躍することだけではありません。さまざまな国から日本に来る外国人が増えるということも、グローバル化のもう1つの面です。日本の子どもたちは、外国人にどう接したらよいのでしょうか。文部科学省が作成した「外国人の人権尊重に関する実践事例」から、グローバル教育に取り組んでいる学校の取り組みを紹介しながら、「もう1つのグローバル化」について考えてみたいと思います。

ポルトガル語など英語以外の言語が主流に

日本の公立学校に在籍する外国人児童生徒は、2015(平成27)年度で7万6,282人となっています。日本語指導を必要としている児童生徒は2014(平成26)年度で2万9,198人で、外国人児童生徒の約38%に当たります。日本語指導が必要な外国人児童生徒が在籍している公立小中学校は6,864校で、公立小中学校全体の22.7%に当たります。これらの数は近年、増加傾向にあり、国内の景気回復による人手不足などを背景にして、これからも増えていくことは間違いないと見られています。

日本語指導が必要な児童生徒の母語を見ると、最も多いのが「ポルトガル語」で、次いで「中国語」「フィリピノ語」「スペイン語」「ベトナム語」などの順となっています。国内のグローバル化という面から見ると、「英語」は必ずしも主役とはいえないというわけです。もちろん英語は「世界共通語」という面がありますが、決して「グローバル化=英語」ではないということを理解しておくことも必要でしょう。

グローバル化とは異文化の人々との共生

では、外国人児童生徒の在籍する学校では、どのような取り組みが行われているのでしょう。
実践事例を見ると、たとえば学校行事を通じて異文化を受け入れる素地を養う取り組みをしている秋田県立能代松陽高校では、国際教育の一環として「国際理解講座」という学校行事を実施しています。中国・韓国・ロシア・アメリカなどの文化を紹介し、その国の人々と交流。さらに日本との間に生じたさまざまな問題を、大学教授などに解説してもらっています。

茨城県つくば市立並木小学校は、総合的な学習の時間に「◯◯さんのこまったなをかいけつしよう。」という授業を組み、日本との文化の違いに戸惑う外国人をテーマにした劇を見て、外国人の気持ちを理解し、助け合うことができる方法を考えるという取り組みをしています。これによって、子どもたちの間で、文化による違いを否定するような言動が見られなくなったといいます。

福井県の小学校では、ブラジル人の児童が多いことから、学校ではポルトガル語と日本語の2か国語アナウンスするなどの他、ブラジル人保護者をPTA役員に選出するなどの取り組みをしました。

グローバル化とは、国際社会と関係なく日本の地方で生活していても、異なる文化を持つ人々に偏見や差別を持たずに、共に生きていくことだと言えるのではないでしょうか。

※外国人の人権尊重に関する実践事例
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinken/jirei/1384042.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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