小学生で習うローマ字 電車はローマ字で“densha”と書かない!?ローマ字学習の注意ポイント
小学校3年生になるとお子さまはローマ字を習い始めます。学校でお子さまが習うローマ字のつづり方は、保護者が日頃キーボード入力に使うものと異なる場合もあるため、お子さまを指導する際に、戸惑うかたも少なくないようです。ローマ字指導の際の注意点を、進研ゼミ小学講座の国語担当、佐藤祐一が解説します。
小学生がローマ字を学ぶ理由
お子さまがローマ字を学習するのは小学3年生の2学期です。この時期にローマ字を学習する意義は3つあります。まず、お子さまが日常生活のなかでローマ字を目にすることが多くなるため、ローマ字表記がなぜ行われるのか、その意味や効果を考えさせるためです。
次に、パソコンに親しむ児童も増えているため、文字入力のためにローマ字を学習する重要性が高まっているからです。そして、ローマ字を学ぶことは、アルファベットの書き方を学習することにもつながり、英語学習の入り口としても重要だと位置付けられています。
訓令式とヘボン式2つの表記方法
次に、小学校ではローマ字表記をどのように指導しているかをご紹介します。下記の日本語をローマ字にしてみましょう。
(1)でんしゃ
(2)ちゃわん
答えは(1)はdensya、(2)はtyawanです。保護者のなかには(1)はdensha、(2)はchawanでは?と思われるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。実は、この2つのつづり方、どちらも正解です。現在、日本で使われているローマ字のつづり方には、主に2つの方法があるからです。
前者は、学校で習う訓令式です。ハ行はすべて「H」で表すなど、日本語の音韻の並び方を重んじているのが特徴です。後者は、駅名表記やキーボード入力に使われているヘボン式です。明治以降に主流になった英語式のつづり方で、実際の英語の発音を重んじたつづり方をするのが特徴です。他にも訓令式とヘボン式で書き表し方が異なるものがあります。
教科書で主に習うのは訓令式ですが、括弧書きでヘボン式のつづり方も併記してあります。また、進研ゼミ「チャレンジ」でも訓令式で学習するようにしていますが、別解としてヘボン式の解答もつけています。
教科書にヘボン式の表記も併記している理由は、日常生活のなかで目にするローマ字の多くは、ヘボン式だからです。ですから、保護者のかたがヘボン式の書き方をお子さまに教えたとしても、それが間違っている訳ではありません。ただ、ローマ字を習い始めたばかりのお子さまにとっては同時に2つの書き方を学習すると混乱する可能性が高いので、まずは、学校の指導を優先してほしいと思います。訓令式の表記の仕方を忘れてしまった保護者のかたも、まずはお子さまと一緒に教科書を見ながら、ルールを確認すると良いかもしれません。
気をつけたいローマ字表記のきまり
ローマ字には表記の仕方が2つあるという以外に、お子さまに指導をする際に気をつけてほしいのは、ローマ字表記の細かいルールです。ローマ字を書くときには下記のようなルールがあります。
のばす音やはねる音などを書くときの注意点は、パソコンで文字入力するときは使わないルールのため、保護者のかたも忘れていることが多いと思います。上記のルールも確認しておきましょう。
生活のなかで活用させて
小学校3年生では、「ローマ字一覧表」をもとにローマ字を読み書きできることを目標にしています。そのため、ローマ字の書き方を全て覚える必要はありません。表を見ながら、正しく書いたり、読めたりできればOKです。
とはいえ、冒頭でお話ししましたが、ローマ字に親しんでおくことはキーボード入力や英語学習につながります。実際に街にあるローマ字で書かれた看板を見つけ、子どもに読んでもらうなど、楽しみながら学習すると良いでしょう。漢字は読めなくても、ローマ字がついていれば読み方がわかるというものも増えてくると思います。すると、外国のかたが駅名や地名などを理解するのにローマ字が役立っているんだということを、お子さまは実感することもできるでしょう。また、キーボードで簡単な文字を入力させて、パソコンを使う楽しさを教えてあげても良いですね。
ローマ字は小学校3年生でしか学習せず、単元数も少ないですが、その後の学びに生かせることが多い内容です。ぜひ、お子さまに“読める・書ける”喜びを感じさせながら、学習をサポートしてもらえるとうれしいです。