健康で安全な生活とスポーツライフに何が必要?

東京オリンピック・パラリンピックが3年後に迫り、今後、スポーツへの関心が日増しに高まっていくことでしょう。一方で超高齢化社会が心配されるなか、健康で安全な生活を送れるような体づくりも課題です。そんななか、スポーツ庁の世論調査で、気になる結果が浮かび上がっています。大人を中心にした調査ですが、これから長い人生を歩む子どもにも、どんな力を身に付けさせるべきか、考えなければならない課題のようです。

運動したくても忙しくてできず

調査は2016(平成28)年11月、18~79歳の登録モニター男女2万人から回答を得たものです。それによると週に1日以上、運動やスポーツをする人の割合は、全体で42.7%ですが、10代で49.8%、20代で34.5%、30代で32.5%、40代で31.6%、50代で39.4%、60代で54.3%、70代で65.7%と、20~40代の実施率が低くなっています。この1年間「運動やスポーツはしなかった」と答えた人も、全体で36.5%と3人に1人以上いました。

運動・スポーツを阻害する要因としては、「面倒くさいから」などを上回って「仕事や家事が忙しいから」が最も多くなっています。やはり働き盛りの時期には、運動やスポーツをする余裕もない……ということでしょうか。

一方、運動・スポーツを行った人に理由を尋ねると、「健康のため」が最も多く、次いで「体力増進・維持のため」「楽しみ、気晴らしとして」「運動不足を感じるから」などとなっています。

元気に働いたり、子育てをしたりするためにも、健康が第一です。しかし現実には、する人としない人に二極分化してしまっているようです。

ただ、将来の医療費などを考えると、若い時から健康を保つことが、本人にとっても国や自治体にとっても、大きな課題となっています。これから21世紀中どころか22世紀に入るまで生きる可能性のある子どもたちにとっては、なおさらです。

家庭や地域とも連携して生涯の基礎を

これまでの学校教育でも、生涯にわたって健康を維持したり、スポーツを楽しんだりするための基礎を培ってきたことは、言うまでもありません。次期学習指導要領では、学校の教育活動全体を通じて「健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現」を目指すとしています。その上で、家庭や地域社会との連携を図りながら、日常生活で適切な体育・健康の活動を実践するよう促し、生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮を求めています。

各教科等で共通して幅広い「資質・能力」の育成を目指す今回の指導要領改訂では、たとえば小学校の体育科で、「体育や保健の見方・考え方を働かせ、課題を見付け、その解決に向けた学習過程を通して、心と体を一体として捉え、生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力」を育成することを目指すとしています。

日本でこれだけ運動やスポーツに対する関心が高まったのも、50年以上前の東京五輪が契機でした。2度目の東京五輪に合わせて次期指導要領も実施されるなか、改めてスポーツや健康の問題を考えるきっかけとしたいものです。

※2016年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」について
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/29/02/1382064.htm

※次期指導要領案(パブリックコメント)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=0

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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