読書感想文の書き出しにもう悩まない! 使える5パターンを紹介

夏休みの定番の宿題に読書感想文があります。子どものころ、何から書き始めたらよいかがわからずに苦しんだ記憶のある保護者のかたも多いのでは。そこで読書感想文がなかなか書けない子どもには、思考のきっかけとして、一行目として使えるパターンを示してあげましょう。

最初にパターンを決めてから、作品を振り返ろう

「自由に感想を書いてよい」といわれると、逆に何を書くべきか悩んでしまうものです。特に、書き出しの一文には何をどう書いてよいかがわからないという子どもが多いようです。読書感想文が苦手な子どもには、比較的書き始めやすい書き出しとして、次の5パターンを示してあげてください。

【パターン1】あらすじ紹介パターン/「この本は、○○のお話です。」

最初にあらすじを紹介するのは、読書感想文の書き出しとして定番のひとつです。このパターンでは、物語文だったら、誰が、どこで、どうするなど、簡潔にあらすじを説明することが大切です。

例えば、『十五少年漂流記』(ジュール・ヴェルヌ著)であれば、「この本は、15人の少年を乗せた船が無人島に流れ着き、皆で力を合わせて生活する姿を描いた本です」などとなります。

注意したいのは、長々とストーリーを説明して、最後に「おもしろかった」「感動した」などと少しだけ感想を書いて終わる感想文になることです。それでは本の説明にすぎません。あらすじは簡潔にまとめるように心がけさせてください。

【パターン2】登場人物紹介パターン/「この本に出てくる○○は、~~な人です。」

物語の登場人物(主に主人公)の紹介から書き始めるパターンです。登場人物に深く感情移入した作品におすすめです。このパターンでは、「主人公は誰?」「どんな性格?」「何が得意?」などに着目して登場人物をとらえさせましょう。

例えば、『十二歳』(椰月美智子著)であれば、「この本に出てくる鈴木さえは、活発な性格で、ポートボールが得意な小学6年生の女の子です」といった書き出しが考えられます。

主人公以外の登場人物に感情移入した場合は、その人物を紹介してもOKですが、難易度は少し高くなるかもしれません。

【パターン3】本との出合い紹介パターン/「この本を読んだきっかけは、○○です。」

本と出合ったきっかけから書き始めます。比較的、どのような作品にも用いやすいパターンです。「どうして読もうと思った?」「誰からすすめられた?」などと振り返ってまとめましょう。

例えば、『星の王子さま』(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著)であれば、「この本を読んだきっかけは、世界中でベストセラーになったと図書館で紹介されており、いったいどんな作品なのかと興味をもったからです」といった書き出しが考えられるでしょう。

他にも、「昆虫が大好きだから……」「環境問題に興味をもったから……」「お父さんが子どもの頃に感動したとすすめられたから……」など、さまざまな書き出しが考えられます。

【パターン4】セリフ紹介パターン/「『○○』というセリフが印象に残っています。」

本を読んで、心に残ったセリフから書き始めることもできます。まずはお子さまに「ハッとしたり驚いたりしたセリフを見つけてみよう」と声かけをするとよいでしょう。

例えば、『モチモチの木』(斎藤隆介著)であれば、本の中に「自分で自分を弱虫だなんて思うな」というセリフが登場します。そのセリフを紹介した後、「私も勇気をもらった」など、感じたことを書くことができます。

「自分で自分を弱虫だなんて思うな」
 このセリフを読んで、私はハッとしました。

このように、改行を使うとより印象的な書き出しにすることができます。

【パターン5】自分の変化紹介パターン/「この本を読んで、考えが変わりました。」

本を読む前と後で、変わったことから書き始めます。「○○についてくわしくなった」「 苦手なこともがんばってみようと思った」といった変化があるのではないでしょうか。

例えば、『猫の事務所』(宮沢賢治著)であれば、「なんとなく悪いと思っていたいじめについて、より深く考えられるようになった」など、考え方の変化を書くことができるでしょう。

変化について書いた後は、きっかけとなった物語の場面や、「実際にこんなことをした」「これからはこうしたい」などを書いていくとまとめやすくなります。

保護者のかたとの対話を通して感想を引き出そう

上記の5パターンは、組み合わせることも可能です。例えば、本を読んだきっかけ、あらすじ、登場人物の紹介の順にまとめてもよいでしょう。

最も難しい書き出しをクリアーしたら、続いて感想を書いていきます。ここでは、特に心に残った場面を説明し、「どうしてそう思ったのか」「どんなところをそう思ったか」といった理由を述べることを心がけましょう。例えば、「○○が△△をしたとき、~~だと思いました。なぜなら~~」といった具合です。

読書感想文をなかなか書き進められない理由のひとつは、子どもが自分の内面を振り返るのに慣れていないことです。そこで保護者のかたが、対話を通して感想を引き出してあげましょう。例えば、子どもが「おもしろかった」という感想しか述べなかったら、「どの場面がおもしろかった?」「どうしておもしろかったと思う?」「同じようなことを経験したことがある?」などと問いかけて、考えを深めたり整理したりするのを手助けしましょう。保護者のかたとの対話の中で、「そうか、それを書けばいいのか」といった気づきがあるはずです。

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