女性や保護者の教育委員が過去最高に! 教育委員会の実態

文部科学省の2015(平成27)年度「教育行政調査」の結果によると、全国の都道府県と市区町村で、女性の教育委員や、保護者である教育委員の割合が、過去最高になりました。今、教育委員会の実態はどうなっているのでしょうか。

さらなる登用が望まれる女性教育委員

「教育委員会」という言葉には通常、教育委員の合議体である狭義の教育委員会と、教育委員会の事務局を指す広義の教育委員会の、二つの意味がありますが、ここでは教育委員の合議体のことを意味するものとして説明します。

調査によると、2015(平成27)年度に教育委員会は、47都道府県と1,815市区町村に置かれています。このうち女性の教育委員は、都道府県が合計92人で全体の39.7%(前回の2013<平成25>年度調査比0.6ポイント増)、市区町村が合計2,750人で、全体の37.9%(同1.7ポイント増)となっており、過去最高を更新しました。女性教育委員の登用は、わずかずつですが増加傾向を示しており、より広く民意を反映しようという首長の意向がうかがえます。ただ、全体の割合から見るとまだまだ多いとは言えず、女性教育委員のさらなる登用が望まれます。

教育行政に保護者などの声を反映するため、教育委員には、保護者(未成年の子どもを持つ者)の委員を任命することが、法律で義務付けられています。保護者の教育委員は、都道府県で合計71人、全体の30.6%(前回調査比0.1ポイント増)、市区町村が合計2,231人、全体の30.7%(同0.4ポイント増)で、こちらも過去最高を更新しました。ただ、保護者の教育委員は、任期中に子どもが成人となり、保護者代表の意味を失うケースもあるため、保護者委員を複数任命するなど、より積極的な登用も必要となりそうです。

依然として少ない女性教育長、都道府県は1人だけ

市区町村教育委員会を見ると、教育長を除く教育委員の職業は、「無職」が34.7%、「専門的・技術的職業従事者」が24.1%、「管理的職業従事者」が19.5%などとなっています。また、教育長を除く教育委員のうち、教職経験者は全体の28.1%を占めています。このことから、教育委員の一定の割合を退職教員などが占めていることがうかがえます。

一方、教育長の平均年齢は63.7歳で、このうち女性教育長は合計62人、全体の3.6%(同0.1ポイント減)しかおらず、女性教育長の存在はまだまだ少数派です。教育長の前職は、教職員が37.4%、教育委員会関係職員が19.7%、地方公務員が19.1%などで、合わせると教育行政経験者が80.2%となります。

これに対して、都道府県教育委員会では、教育長を除く教育委員の職業は、「管理的職業従事者」が48.3%、「専門的・技術的職業従事者」が33.6%、「無職」が11.6%で、市区町村と比べて無職が少ないのが特徴です。一方、教育長の平均年齢は60.2歳で、女性教育長は46人中1人(前回調査比1人減)しかいませんでした。また教職経験者は41.3%、教育行政経験者は73.9%となっています。やはり市区町村も含めて教育長には、教職経験者や教育行政経験者が多く選ばれているようです。

教育委員については、女性や保護者の増員など、より多様な意見を反映できるような委員がさらに求められそうです。

※平成27年度教育行政調査(中間報告)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/005/1372104.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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