いよいよ18歳選挙権! 学校や家庭でできることは?

7月10日に投開票が行われる参議院議員選挙で、全国約240万人の18・19歳が新たに選挙権を得ることになります。既に高校などでは、18歳選挙権をめぐる「主権者教育」が行われています。高校で、そして家庭で何ができるか、考えてみましょう。

18歳選挙権によって気を付けたい選挙運動

第一に注意しなければいけないことは、高校生の選挙違反を出さないことです。選挙権年齢に達しない者は、選挙運動を一切することができません。これまで選挙権年齢は20歳以上でしたから、高校では定時制などを除くと、ほとんど問題にならずに済みました。

それが18歳選挙権により、有権者になった高校生には、成年と同様、むしろ積極的な政治参加が求められることになります。その中には当然、自分の支持する政党への投票を呼び掛けることも入ります。しかし、まだ18歳になっていない同級生や、1・2年生の後輩は、依然として選挙運動は禁止されていますから、安易な気持ちで誘ったりすると、本人だけでなく、同級生や後輩までもが、選挙違反に問われることになります。

とりわけ注意しなければならないのは、インターネットを使った選挙運動です。2013(平成25)年4月の法改正で、立候補者はもとより有権者も、選挙期間中なら、ホームページやツイッター、フェイスブック、LINEなどのウェブサイトを使って、選挙運動ができるようになっています。ただ、その場合はメールアドレスを表示する義務があることや、電子メールを使った選挙運動は候補者・政党以外に禁止されているなど、さまざまな制約があることを知っておく必要があります。

さらに、たとえば18歳の高校生が投票を呼び掛けた書き込みを、17歳以下の生徒がツイッターでリツイートしたり、フェイスブックでシェアしたりしたら、選挙運動と見なされます。こうしたネット上の行為は、つい行ってしまいがちなので、気を付けたいものです。

まずは親子で一緒に考える機会を

そんな大変な思いをしてまで、なぜ選挙権年齢を引き下げるのか。未成年に投票権を与えるのは、まだ早いのではないか。そんな疑問を抱く保護者のかたは、少なくないでしょう。しかし、何歳からならよいのでしょうか。そもそも成人でさえ、きちんと判断・行動して、投票行動をしているでしょうか。18歳選挙権は、そうした大人の政治参加そのものを問い直すものである……という積極的な受け止めも可能です。

既に高校では、総務省と文部科学省が共同で作成した副読本などを使った学習が行われていることでしょう。模擬投票など投票の仕方を学ぶだけでなく、話し合いや討論などの活動を通じて、解決すべき社会の課題や、合意形成の仕組みを体験的に学ぶような活動をしている高校も、少なくありません。それこそが、政治参加の在り方を学ぶ「主権者教育」です。

まずは学校でどんな指導がなされているか、お子さんに聞くことをきっかけに、ご家庭でも、選挙や政治について話し合ってみてはいかがでしょうか。それによって、お子さんだけでなく、保護者自身にも、新たな発見があるかもしれません。

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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