大学、真面目に出席するだけじゃダメ? もっと予習・復習が必要

新学期が始まって、4月中は、まだ意欲に燃えている児童・生徒・学生が多いことでしょう。このうち大学生については、キャンパスライフを謳歌(おうか)できた以前と違って、今や真面目に授業に出席し、ボランティアやインターンシップ、あるいは生活費のためのアルバイトなど、毎日が忙しいことでしょう。ただ、今後はもっともっと勉強に忙しくなるかもしれません。

大学生の学習実態について、日本学生支援機構と国立教育政策研究所が共同で行った調査によると、1、2年生の1週間当たりの平均学習時間は、授業への出席が約20時間、授業の予習・復習等が約5時間、授業と関係ない学習が約2.5時間でした。この数字を、どう思うでしょうか?

ポイントは、授業の時間と、予習・復習の時間です。大学は単位制ですが、1時間の授業に対して、予習1時間、復習1時間をすることが前提になっています。最近は入学後のオリエンテーションなどで、そう説明されることも多いようですし、実際、資料を読んだり、レポートを提出したりと、さまざまな課題が出されることも当たり前になっています。それなのに現状は、予習・復習の時間が、授業の出席時間の4分の1にすぎません。

ところで、なぜ授業と予習・復習を合わせた勉強時間が求められているのでしょうか。戦後の日本の大学は、基本的に米国のやり方を取り入れましたが、米国の大学では、社会人が1日8時間働くのと同様に、学生は1日8時間勉強すべきだという考え方に基づき、単位制のカリキュラムができています。授業1時間に予習・復習で2時間の勉強が必要だというのは、そこから逆算されたものでした。

今でもキャンパスでは履修登録時に、その授業の単位が取りやすいかどうかという「楽勝科目」「鬼科目」の情報が飛び交っているようです。もしかすると、スマートフォン(スマホ)など情報機器の発達で、保護者世代の時より盛んになっているかもしれません。しかし、それも授業の内容や難易度が、担当する教員に任されていればこその話です。

昨今の大学は、「三つのポリシー(方針)」による改革が迫られています。まず、社会から信頼される卒業生像を「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」で描き、そうした卒業生を育てるための教育を行う「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」を定めます。そんな教育にふさわしい学生を選抜しようというのが、「入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー)」です。大学入試の改革が求められているのも、学生の質を入試に頼るのではなく、入学後の教育でしっかり保証しようという大学教育改革からの要請です。

大学関係者の間では、「単位の実質化」というのも合言葉になっています。すべての授業で、予習・復習2時間という学習を、本当にさせようというわけです。これから大学に入学しようとする人は、ハードな勉強を覚悟するとともに、勉強に打ち込める生活設計や時間管理をしっかり行うことも、ますます求められそうです。

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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