家庭学習の習慣をつけさせるために【低学年編】

 低学年のうちは「とにかく外でたくさん遊ばせたい!」と考えている保護者のかたも多いと思います。それは決して間違ったことではありません。遊びの中から学べることは非常に貴重なことだからです。ただし、高学年になったらいきなり家庭学習に取り組めるようになるか…というと、そうではありません。低学年の子どもに、遊びの時間も重視しつつ家庭学習の習慣をつけさせるには、どうしたらいいのでしょうか。

低学年の家庭学習の目的は、机に向かう習慣をつけること

 漢字もやってほしい、算数も学んでほしい…と、低学年の子どもにたくさんの問題集を与えても、勉強の習慣は身につきません。いやなことを押し付けられ、逃げたいと思う気持ちが強くなってしまいます。低学年のうちはあくまでも「勉強をしようと思い、机に向かう習慣をつける」ことを重視しましょう。

ただ、小学校低学年の子どもの場合、宿題であっても、保護者のかたの思い通りに、すぐに動かないことも多いです。そんなときは、まず、「子どもの話を聞く」ことをおすすめします。まず、学校での出来事を聞き、そのひとつとして学習してきた内容を子どもに話してもらうことは、今日、学習した内容の簡単な復習にもなります。

また、今日、学校で学習した内容でわかったところ、わからなかったところも、丁寧に聞いてあげることで、子どもにとっても何を勉強したか、どこがわからないかなど、はっきりしてきます。子どもの話を聞きながら、宿題があれば、宿題を一緒に考えたり、宿題を子どもにさせたりして、それを保護者のかたがすぐそばで見ていてあげれば、子どもも安心して学習に取り組んでいくことができます。これを繰り返すことで、習慣化していけるはず。

気持ちを切り替えられる環境づくりもできるといいですね。例えば、テレビを消す、ゲームをしまうなど、今から勉強をするのだという少しの緊張感をつくります。
年が近いきょうだいがいる場合には、下の子にもお絵かきなどでお勉強タイムに付き合わせてみるのもいいですね。

目安の家庭学習時間は、1年生なら10分から

 家庭学習の時間は、宿題以外に《1日10分×学年》ということがよく言われています。学校によっては異なる方針をもっている場合もありますが、特にない場合はこれを目安に考えてみましょう。ただし、宿題をまったく別に考える必要はありません。低学年のうちは書く宿題以外の宿題(音読やお手伝いなど)も多いものですが、机に向かうような宿題が多い場合はそれを含めて考えても。学校や宿題に慣れていく過程で調整していきましょう。

大切なことは、その10分が一日のうちいつなのか決めることです。いつでもいいのですが、あまり変動するとやはり習慣になりにくくなってしまいます。朝の10分、学校から帰り宿題が終わったあとの10分、習い事に出かける前の10分など、ある程度決めることで習慣を守る意識が強まっていきます。

保護者のかたは教材を与えて終わり、ではない

 子どもに家庭学習の習慣を身につけさせるには、保護者のかたが積極的に学習に関わる必要があります。というのも、教材を与えてやらせるだけでは、勉強の楽しさはなかなか感じられないからです。ひとりで学習することの楽しさを知ることができるのはもう少し先のこと。この時点では、ひとりで学習してつまずくことが増えてしまうと、勉強できない、イライラする、勉強がいや…という悪循環につながってしまうかもしれません。

子どもが学習している間、保護者のかたはできるだけそばでつきそい、困っていたら声をかけるようにしましょう。質問されたらすぐに答えられるようにし(できれば答えそのものより考え方のヒントなど)、保護者のかたにとっても何かしらの勉強になる時間になるといいですね。

「あとで答え合わせをする」というのもいいのですが、やはりもっともその問題に対して集中しているときに解決しておいたほうが、記憶しやすくなります。短い時間の間で「わからなかった、でも解決した」という達成感を実感させることが大事なのです。つきっきりでいる必要はありませんが、姿が見える場所か、呼ばれたらすぐに行ける場所での学習がおすすめです。

強制される学習ではなく、自分のための学習を

 「とにかくたくさん勉強させたい」と思う必要はありません。10分、15分でも、子ども自身が「自分のための勉強」であることを意識し、実行することが重要です。家庭でも学習するものなのだということがあたりまえになれば、高学年になって家庭学習の必要性がさらに高まったときにも対応しやすくなります。保護者のかたとしても子どもの理解度を把握できるいい機会だと考え、ひとつの机に親子ふたり、向き合う時間をつくってみましょう。

プロフィール



フリースクール パーソナルアカデミー代表。大阪教育大学大学院教育学研究科修了。公立高校、大手予備校、大検予備校、NPO法人理事長を経て、現職。現在、不登校の子ども達のメンタル面と学力面をトータルにサポートしながら、生徒一人ひとりの希望進路実現に向けて取り組んでいる。

パーソナルアカデミー

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