子どものスマホ、保護者が悩むのは当たり前?

入学や進学を機に、お子さんにスマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)を買い与えたご家庭も多いと思います。ゴールデンウイーク(GW)を迎えて、そろそろ長時間の使用や悪質サイトへのアクセスなど、使い方が気になってきたころではないでしょうか。

子どものスマホ、保護者が悩むのは当たり前?


東京都が昨年12月、小学4年生から高校生までの子どもに携帯電話等を持たせている都内在住の保護者を対象に実施した調査によると、「適切に利用していると思う」「まあまあ適切に利用していると思う」との回答が全体で76.0%と4人に3人を占めていますが、子ども別に見ると、小学生では93.0%に上ったのに対して、中学生では70.2%、高校生では64.6%に下がります。年齢が上がっていくにつれて、使い方なども子どもの自主性に任せることが多くなりますが、その分、「ちょっと利用しすぎていると思う」「利用しすぎていると思う」という心配も高まっています。
スマホを持たせるに当たり不安なことがあるか、複数回答で挙げてもらったところ、「スマートフォンに依存してしまう」が63.3%に上り、「SNS(インターネット交流サイト)を利用し、友達とトラブルになる」も47.3%ありました。以下、「出会い系アプリ等で、知らない人と知り合いになれてしまう」37.9%、「高額の料金を請求されてしまう」30.7%、「自分の写真をアップして、トラブルに巻き込まれる」27.1%と、不安は尽きません。「不安なことはない」としたのは15.7%と、6人に1人もいませんでした。

フィルタリングサービスを利用したり、家庭での使用ルールを決めたりしても、抜け道は幾らでもありますし、子どもの行動を24時間監視するわけにもいきません。調査でも、子どもが正しく使用するために必要な課題は何か、2つまで選んでもらったところ、2人に1人が「インターネットや携帯電話について、子供に教育できる十分な知識を身につけること」(51.3%)と「親子のコミュニケーションを緊密にすること」(51.1%)を挙げ、次いで「子供の使用状況についてもっと関心を払うこと」(38.9%)だとしています。

保護者の方々も、今やパソコンやスマホが手放せなくなっていると思います。ましてや、これからの社会で活躍する子どもたちには、スマホに限らず、さまざまな情報機器を使いこなすことが、仕事でも社会生活でもますます不可欠になっていきます。もはや禁止したり制限したりするにも限界があり、年齢に応じてトラブルを避け、活用する力を身に付けることが必要です。

学校でも情報活用能力を育成するだけでなく、「情報モラル教育」の充実に努めていますが、学校任せで問題が解決するわけではありません。保護者としての不安や悩みを率直に語りながら、学校と家庭が連携して、子どもに情報機器との上手な付き合い方を身に付けさせる必要があるでしょう。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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