全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)、今年は理科も

小学6年生と中学3年生を対象とした2015(平成27)年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が、4月21日に行われます。今年は国語と算数・数学に加えて、理科も出題されるのが特徴です。

2007(平成19)年度から今のような形で始まった全国学力テストは、国語と算数・数学でそれぞれA問題(主に「知識」に関する問題)とB問題(主に「活用」に関する問題)が毎年出題されています。理科は途中の2012(平成24)年度から、おおむね3年に1度出題されることになっており、今回が2回目です。ただし当初は原則として全児童生徒を対象とする「悉皆(しっかい、全数)方式」で実施していた全国学力テストは、民主連立政権下の2010(同22)・12(同24)年度(11<同23>年度は東日本大震災により中止)で「抽出方式」になり(自公政権下の13<同25>年度以降は悉皆方式に戻る)、理科もその中で出題が決まり、実施されたものでした。そのため悉皆方式で行う理科としては、今回が初めてとなります。つまり前回、抽出の対象ではなかった学校は、3年前との比較ができないことになります。
理科は前回と同様、国語や算数・数学のようにA・Bに分けません。ただし、結果を出すにあたっては、全体の平均だけでなく、「知識」と「活用」に分けた正答数や正答率も示すことにしています。

ところで調査の実施要領では、都道府県教育委員会(都道府県教委)の結果の発表方法について、市町村教育委員会(市町村教委)の同意が得られれば、市町村名や学校名を明らかにした公表ができることになっています。裏を返せば、市町村教委が同意しない限り、都道府県教委はその結果を発表することはできません。さらに今年度の実施要領では、「市町村名又は学校名を特定することが可能な方法による公表を含む」というカッコ書きが付きました。これは昨年、一部の県で、成績のよかった上位の学校の校長名が知事の判断で公表され、名簿と対照すれば実質的に学校名を公表するのと同じだということで県教委と対立したことがあったのを受けてのことです。学校名を直接出さないで、校長名を発表する場合でも、市町村の同意が必要であることを明確にし、混乱を防ごうというわけです。

このように全国学力テストには、調査方法や結果の公表方法について、政党や自治体にいろいろな考え方があるのも事実です。学力を上げるには競争を促したほうがよいから自治体別・学校別の成績を公表すべきだという考え方から、調査は国や自治体が実態を把握して学力の底上げ施策を考えるデータが取れればよいのだから抽出方式で十分だという考え方まで、さまざまです。

しかし忘れてはならないのは、どんな調査方法・公表方法であっても、一人ひとりの子どもに学習指導要領の目指す「確かな学力」を着実に身に付けさせてもらうよう、学校や先生にがんばってもらう体制をつくることです。課題を抱える学校や自治体には、むしろ予算面や人事面を含めたてこ入れ策を考えるのも、行政の責任でしょう。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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