スミレは食べられるって本当?
春に咲く花の中でも、スミレはその小さくかわいらしい花びらの形や、さまざまな色で愛されています。
スミレはたくさん種類がある
スミレ属の植物は世界に約450種あり、日本には60種が自生しています。ただ、変種や自然雑種を含めると200種はあるという説も。野を歩いても、山を歩いても、スミレは意外と簡単に見つけられますし、学校や公園の花壇などにも咲いていることは多いかと思います。よく観察してみると、その違いに気づけるでしょう。
たとえば、日当たりのよい草地や林の中などに咲くタチツボスミレは、花は淡い紫色、葉はハートのような形をしています。
日陰には、花は白く、葉は長三角形のヒカゲスミレが咲きます。
見かけたら、チェックしてみましょう。
スミレは食べることもできる?
スミレは食用や薬用としても用いられます。山菜として、花の二杯酢、葉の和え物、浸し物、煮物、天ぷら、スミレ飯などがあります。ただ、ニオイスミレの種と根には毒が含まれていて、非常に危険なので、食べるときは花と葉だけにしておきましょう。
薬用としては、血圧を下げる作用のあるルチンが含まれているため、お茶にして飲む民間療法が伝わっています。また、新鮮な葉をよくもんで傷口や腫れものに貼ると、解毒や腫れをとる効果もあります。
パンジーもスミレ科スミレ属
「三色スミレ」という別名のあるパンジーもスミレ科スミレ属です。パンジーは寒さに強いため、春先に花壇で真っ先に目にすることが多いかと思います。それに色も豊富で、オレンジ、黄色、赤、紫などいろいろあります。花びらも大きめです。組み合わせ次第で花壇の雰囲気を自由自在に変えることができますし、花が咲いている期間も長く、手入れも簡単です。
パンジーは、もともと、スイスのアルプスに多いビオラ・カルカラータとビオラ・トリカラーという野生種を交配して作られた園芸花で、17世紀にはもう花園を彩っていたんだとか。
スミレは野生種で、パンジーは園芸用に品種改良された品種であることが違うところです。
スミレやパンジーを目にすることが多くなる季節、違いや色の種類などに目を向けてみてはいかがでしょうか。
参考
鈴木昶『花のくすり箱』(講談社)
きらかずこ『おしゃべりな花日記』(論創社)
北脇榮次写真集『誕生花 わたしの花 あの人の花』(いしずえ)