中高生、大学生のインターネット依存、オンラインゲーム依存【後編】

前回は、オンラインゲーム依存症の実態と症状について、久里浜医療センターの中山秀紀先生にお伺いしました。今回は、依存傾向のチェックポイントと、予防法についてご紹介します。



どこからがオンラインゲーム依存症!? 気を付けたいポイント

子どもがついついゲームをやりすぎて保護者が注意する……というのはどこのご家庭でもよく繰り返されている風景です。どこからが依存症なのかは、個別の事例によって異なってはきますが、しばしば就寝時間が遅くなり朝起きられないなど、生活になんらかの影響が出はじめたり、あらかじめ家庭で決めていた約束が守れなかったりするようだったら、依存傾向にあるかもしれません。
気になるかたは、こちらにあるスクリーニングテストを実施してみるという方法も。基本的には自分で読んで回答する方式のものですが、保護者のかたが質問を読んでお子さまに答えてもらっても問題はありません。



インターネット機器は与える前に約束を

一般的には重症の依存者は比較的少数ですが、それでもお子さまがゲームをやりすぎていたら心配になるかと思います。子どもが小学生ならパソコンやゲーム機を物理的に取り上げてしまうという手段も有効ですが、中学生や高校生になってくると、取り上げるだけではうまくいかない場合もあります。また、与えてから取り上げるというのは、抵抗が強くなる傾向があるので、なるべくなら与える前に「1日1時間だけ」や「居間でしか利用しない」などと約束をするのが有効です。年齢を経れば経るほど比較的自制しやすくなるため、ゲーム機やパソコン、スマートフォンを本人の所有にする年齢をなるべく上げたほうがよいともいえるでしょう。
前回ご説明したように、ゲーム依存の裏には、学校生活での不適応や人付き合いでのつまずきを抱えている場合もあります。まずはお子さまの話を聞いてあげて、そのうえで生活指導やスクールカウンセラーなどが選択できるとよいですね。



ゲーム依存は治る可能性が高い

万が一、依存症となっても、オンラインゲーム依存症の場合はアルコール依存症などと違い、一生依存し続けるということはまれです。オンラインゲームやインターネットに依存傾向のあるお子さまは、保護者に注意されれば、反抗し、拒絶した態度を取りますが、ゲームを過度にし続けることが問題ではないと思っている子どもはほとんどいません。本当はなんとかしたいと思っているのです。
進級や進学など、生活環境が変わると自然と治癒するかたや、1年前は依存していたのに今はもう依存がないというかたも数多くいらっしゃいます。
保護者のかたにも、インターネット・オンラインゲーム依存の問題を認識していただき、お子さまと一緒に付き合い方を考えていただければと思います。


プロフィール


中山秀紀

独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター医師。岩手医科大学医学部卒業。2004年、同大学院卒業。その後、岩手医科大学神経精神科助教、盛岡市立病院医長などを経て2010年より久里浜医療センターに勤務。2011年よりインターネット依存治療に携わり現在に至る。

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